持ち家と賃貸マンション、どちらが企業にとって賢い選択?

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「持ち家と賃貸マンション、どちらが有利か?」という議論は、個人のライフスタイルや将来設計によって意見が分かれるものです。

しかし、企業経営や役員にとって、賃貸マンションを社宅として活用することは、実は非常に効果的な節税対策となることをご存知でしょうか?

この記事では、社宅制度を最大限に活用した節税のメリットとその仕組みについて解説します。

またYoutube動画でも詳しく解説していますので、ご覧ください。

1. 社宅制度とは?企業にとってのメリット

社宅制度とは、企業が従業員や役員に賃貸物件を提供し、その家賃の一部または全額を会社負担とする制度です。

この制度を利用することで、従業員は市場価格よりも安い家賃で住むことができ、企業側もその賃貸費用を経費として計上することで節税につなげることが可能です。

特に、外資系企業や高給取りの従業員を抱える企業においては、社宅制度を活用することが一般的です。

この制度により、企業は給料以外にも大きな福利厚生を提供でき、従業員にとっても大きなメリットとなります。

給与だけではなく、居住費のサポートを受けられることで、従業員の経済的負担が軽減され、結果的に企業の従業員満足度や定着率の向上にも寄与します。

2. 賃貸社宅を活用した節税効果の仕組み

社宅制度を利用することで得られる節税効果は非常に大きなものです。企業は賃貸物件の家賃の8割から9割を経費として計上できるため、法人税の負担を大幅に軽減できます。

具体例を挙げると、月50万円、年間600万円の家賃を支払っている物件を社宅として提供した場合、仮に法人税率が33%だとすると、次のように法人税が削減されます。

【節税効果の計算式】
600万円 × 90%(経費計上可能額) × 33%(法人税率) = 約160万円の法人税削減

つまり、社宅制度を利用することで、企業は年間160万円もの節税効果を得られるのです。

一方で、持ち家を購入した場合の節税効果はどうでしょうか?日本には住宅ローン控除という制度がありますが、控除額はせいぜい年間30万円前後にとどまります。これに比べると、社宅制度を活用する方が圧倒的に高い節税効果を期待できることがわかります。

3. 個人事業主と法人、社宅制度の違いとは?

賃貸物件を事業用途に利用するのは、個人事業主にとっても有効な手段ですが、経費計上できる割合に大きな違いがあります。

個人事業主が自宅を事務所兼住居として使用し、その家賃を経費に計上する場合、経費として認められるのはおおよそ20%から30%程度です。

これに対して、法人が賃貸物件を社宅として利用する場合は、家賃の8割から9割を経費として計上できるため、節税効果は圧倒的に大きいのです。

個人事業主と法人の違いを理解し、法人を活用した賢い経営戦略を立てることが、企業の節税に直結するのです。

4. 持ち家 vs 賃貸:社宅制度を使った節税効果の比較

持ち家には、資産価値の上昇や住宅ローン控除などのメリットがありますが、税制上の恩恵には限りがあります。

住宅ローン控除による節税額は年間30万円程度であるのに対し、社宅制度を活用した場合は、それをはるかに上回る節税効果を期待できるのです。

さらに、賃貸物件であれば、引っ越しや新しい事業拠点への移動が持ち家に比べて容易で、企業の成長や変化に柔軟に対応できます。

持ち家の場合は売却手続きや税金が発生し、引越しにも時間とコストがかかるため、賃貸の方が機動的な選択肢となります。

5. まとめ:賃貸物件を社宅として賢く活用する

企業にとって、持ち家か賃貸かを選ぶ際、社宅制度を賢く活用することで、節税効果を最大限に引き出すことができます。

特に、役員や高給取りの従業員がいる企業にとっては、賃貸を社宅として提供することが持ち家よりも経済的に有利な選択となる場合が多いです。

また、賃貸物件を社宅として利用することで、企業は法人税の負担を軽減しつつ、従業員にとっても住居費の負担を軽減するというメリットを提供できます。

この制度は、外資系企業だけでなく、日本国内の企業にとっても大きな節税対策となる可能性があるため、積極的に活用すべきです。

柔軟性のある賃貸物件を社宅として利用し、企業の財務状況を健全に保ちながら従業員の福利厚生を向上させることができれば、持ち家にこだわらず、賃貸物件を選ぶメリットは非常に大きくなります。

企業経営において、どのように住居を選択するかは重要なポイントです。持ち家と賃貸、そして社宅制度を上手に活用し、企業にとって最適な選択肢を見つけてください。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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