食事代が経費になるかを検証 – 交際費、福利厚生費、会議費【公認会計士・税理士が解説】
ビジネスを行っていく上で、様々なシーンで食事代が発生する場合があります。
今回は、この「食事代」にフォーカスして、解説していきます。
食事代の多くは、交際費・会議費・福利厚生費などとして経費計上できます。しかし、その食事がビジネスなものか、プライベートなものかを明確に区別しなければなりません。
この記事では、経理担当者・人事担当者・経営者などに向けて、経費における食事代について詳しく解説します。具体的な注意点も解説するため、ぜひ参考にしてください。
所要時間: 5分
次の4ステップで解説していきます。
- .食事代を経費にする際の勘定科目
食事代を経費とする場合の考え方について解説します。
- 「福利厚生費」としての食事代
まず、食事代が「福利厚生費」となる場合を考えます。
- 「会議費」としての食事代
次に、食事代が「会議費」となる場合を解説します。
- 「交際費」としての食事代
最後に、食事代が「交際費」となる場合を説明します。
食事代を経費にする際の勘定科目
食事代を考える際に、2つの論点があります。
- 食事代が経費として認められるか
- 経費として認められる場合、どのような勘定科目になるか
そこでそれぞれについて解説していきます。
食事代が経費として認められるか
食事代が経費として認められるためには、まずは、その食事がビジネス上の業務に何かしら関わるものかを判断する必要があります。
当然ながら、家族と一緒に食事にいったプライベートな食事代は、ビジネスにおける経費として計上することはできません。
そこで、経費計上可能なものは、「ビジネスに関わる食事」であることが前提です。もし、プライベートの食事代を経費として計上していた場合には、税務調査上、否認される可能性が高いため、そのようなプライベートな支出は、しっかりと経費から除外しておくことをオススメします。
経費として認められる場合、どのような勘定科目になるか
食事代が経費として認められる場合、その勘定科目は、主に次の3つになると考えられます。
1.福利厚生費
2.会議費
3.交際接待費
「福利厚生費」としての食事代
国税庁によると「福利厚生費」とは、「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用」と定義されています。
また、「福利厚生費」として費用計上できる食事の支出は、「”従業員におおむね一律に”提供される」食事代となります。
”従業員におおむね一律”とは
役員だけの飲み会や一部の従業員とのランチ代などは、この福利厚生費の定義から外れます。忘年会や社内の式典などの社内の行事で、かつ、従業員全員または相当数が参加している場合の食事代が福利厚生費となります。
福利厚生を受けた従業員に所得税が課税される可能性がある
福利厚生として役員や従業員に提供したり、食事代を支給したりする場合、役員や従業員の給料として、役員や従業員に所得税が課される可能性がありますので、注意が必要です。
国税庁では、役員や従業員に対して食事を提供した場合に、給料として課税されない要件として次の2つを定義しています。
(1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2) 次の金額が1か月当たり3,500円(消費税及び地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
国税庁「No.2594 食事を支給したとき」
役員や従業員に食事代を提供する場合には、役員や従業員の所得税負担が増えないように気を付ける必要があります。
「会議費」としての食事代
次に、食事代が「会議費」として計上できる場合を解説していきます。
「会議費」として計上できる費用は、「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」と定義されます。
会議費の範囲
そのため、食事をしながらの打ち合わせで要した費用は、この「会議費」に該当します。例えば、カフェやレストランで会議をした場合や社内の会議室で弁当などを提供した場合は、会議費として落とせます。
「福利厚生費」として計上される食事代は、役員や従業員との食事代でしたが、「会議費」の場合は、社内の役員や従業員に加えて、社外の取引先などとの食事代も含まれます。
会議費の金額上限
「会議費」として計上できる食事代には、金額の上限があります。
1人あたり5,000円以下の食事代のみが会議費として計上できるようになります。そのため、会計システム内容や領収書に誰と何人で飲食したかを記載し、1人当たり5,000円以下であることを確認できるようにしておくことをオススメします。
「交際費」としての食事代
食事代を計上する勘定科目として3つ目が、「交際費」です。
交際費とは
交際費とは、「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある人に対して、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」です。
参考記事:「税理士が教える「交際費」の使い方」
交際費の範囲
「交際費」として計上される食事代は、「福利厚生費」にも「会議費」にも該当しない支出と考えるとわかりやすいと思います。
たとえば、取引先や仕入先との接待や、ビジネスの知見を得るための会食などに要した費用は、交際接待費として計上できます。
交際費の損金算入限度額
交際費は、その会社の資本金の金額によって、異なります。
まず、資本金が100億円を超える大企業の場合は、交際費は基本的に税務上の損金とはなりません。つまり、会計上は、経費として処理したとしても、税務上は経費(損金)として認められません。
次に、資本金が1億円超100億円以下の会社の場合は、交際費のうち飲食費だけ税務上は経費(損金)として認められます。しかし、全額ではなく、飲食費の50%だけが損金として計上することができます。
最後に、最も多いケースが、資本金1億円以下の会社です。
この資本金が1億円以下の会社の場合は、基本的には、800万円までは交際費として損金計上が認められています。小さい会社の場合は、交際費を活用してビジネスを成り立たせているケースも多いため、税務上は、大企業に比べて非常に優遇されています。
ここにセリフを入れる交際費に関しては、細かな制約があるので、詳しくは専門家に相談することをオススメします。
まとめ
食事代の経費計上について解説してきましたが、いかがでしょうか。支出内容によって、勘定科目が異なりますし、税務上の損金計上の可否や割合も異なります。
このあたりをしっかりと理解して食事代を支出することで、効率的にビジネスを運営していけると思います。
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