高級車を活用した節税対策:中古車を毎年乗り換えて経費化するスキーム
高級車を保有する経営者の中には、毎年ポルシェやメルセデスベンツ、フェラーリなどの高級車に乗り換えるケースが見受けられます。
多くの人は「高級車を毎年乗り換える経営者は相当なお金持ちだ」と思うかもしれません。
しかし、実際には高級車を利用した節税スキームが背後にあることも少なくありません。
この節税スキームを正しく理解し、経営に役立てることができれば、法人の税負担を大きく減らすことが可能です。
この記事では、経営者が高級車を毎年乗り換える理由、中古車を活用した節税スキームの仕組み、さらに税務調査での対応や効果的な買い替え戦略について詳しく解説します。
またYoutube動画でも詳しく解説していますので、ご覧ください。
1. 高級車を毎年乗り換える経営者の本当の狙いとは?
経営者が毎年新しい高級車を購入する光景を目にすることがあります。
たとえば、昨年はポルシェに乗っていた経営者が、次の年にはメルセデスベンツのゲレンデに乗り、さらにその次の年にはフェラーリに乗り換えるというようなことが起こります。
多くの人は、彼らが非常に裕福であるため、高級車を次々と購入していると考えがちです。
しかし、実際にはこれらの経営者が支払っている金額は、新車の定価の10%程度に過ぎないことがよくあります。
この節税スキームを利用することで、経営者は多額の費用をかけずに高級車を楽しむことができ、さらに法人の経費として計上できるため、税務上の負担を大きく軽減しています。
2. 減価償却とは?節税における重要な仕組み
高級車の節税スキームを理解するために、まずは減価償却について説明します。
減価償却の定義
減価償却とは、企業が購入した固定資産(建物、機械、車両など)の購入価格を、使用期間にわたって分割して経費化する会計処理のことです。
例えば、1,000万円の車を購入した場合、一度にその全額を経費にするのではなく、車の使用可能な期間に応じて数年間にわたって経費として計上します。
減価償却の対象となる資産
一般的には、10万円以上の価値がある固定資産で、時間の経過により価値が減少する資産が減価償却の対象となります。
車両もこれに該当し、高級車やスーパーカーも減価償却の対象として処理することが可能です。
減価償却の方法
減価償却には、主に2つの方法があります。
- 定額法:毎年均等に同じ金額を経費として計上する方法。個人事業主が通常利用する方法です。
- 定率法:初年度に大部分を減価償却し、年を追うごとに少しずつ経費化する割合が減少する方法。
法人の場合、定率法が原則として適用されます。
特に定率法は、初年度に大きな金額を経費化できるため、初期の節税効果が高くなります。
これが高級車を利用した節税スキームの核となります。
3. なぜ中古車の方が経営者に人気なのか?
経営者が新車ではなく、中古車を選ぶ理由は、減価償却の短縮にあります。
新車を購入した場合、耐用年数が6年であり、その間に経費として少しずつ減価償却することになります。
しかし、3年10ヶ月以上経過した中古車の場合、その耐用年数が「2年」として計算されるため、より早く購入価格を経費として計上できるのです。
中古車の節税効果
例えば、3年10ヶ月以上経過した中古の高級車を定率法で減価償却する場合、購入価格を1年目でほぼ全額経費として計上できます。
これにより、実質的には購入価格の全額を節税に活用することが可能です。
たとえば、500万円の中古メルセデスベンツを購入したとすると、1年目で約300万円を経費化できるため、法人税率を30%とすると約90万円の節税効果が得られます。
これが毎年車を乗り換えることで、継続的に節税できる理由です。
中古車購入時の注意点
ただし、中古車を購入するタイミングには注意が必要です。
たとえば、決算間近に車両を購入しても、減価償却は月割り計算となるため、決算月に購入した場合はその年度でほとんどの経費を計上できない可能性があります。
理想的には、決算から1年以内に経費化できるよう、年間を通して計画的に車両を購入することが重要です。
4. 高級車を経費化する際の重要なポイント
中古車の中でも、特にメルセデスベンツのSクラスなどが経営者に人気な理由には、税務署に認められやすいという点があります。
ベンツのSクラスが社用車として認められやすい理由
メルセデスベンツのSクラスは、ビジネスシーンでの利用が一般的であり、法人の役員が利用する車両としても非常に適しています。
そのため、税務調査が行われた際にも、「社用車」として正当に認められる可能性が高いのです。
会社役員や社長がメルセデスベンツのSクラスを利用することで、取引先や顧客に対しても信用力や信頼感を高めることができ、法人としてのブランド価値を向上させることができます。
スーパーカーも経費として認められる?
ポルシェやランボルギーニといったスーパーカーも、業務に使用されていることが証明できれば経費として認められる可能性があります。
平成7年には、フェラーリが経費として認められるかどうかが税務署と争われた事例がありましたが、最終的にフェラーリが経費として認められました。
税務署は「一般社会常識から見て個人的趣味に過ぎない」と主張しましたが、最終的には通勤や事業所巡回のために使用されたことが認められ、経費化が許可されたのです。
この事例は、業務利用が証明される限り、スーパーカーでも経費として処理できることを示しています。
5. 1年おきに高級車を買い替える戦略
高級車を毎年買い替える経営者の目的は、車両のリセールバリューを最大限に活用しつつ、減価償却を繰り返し行うことで、法人税の負担を軽減することです。
新車と中古車の価格差
新車の場合、購入後の価値は急速に減少します。例えば、5000万円の新車が数年後には3000万円以下の価値になってしまうことも少なくありません。
これに対して、ある程度年数が経過した中古車であれば、リセールバリューが安定しており、値崩れしにくい車種も多く存在します。
リセールバリューの高い車種を選ぶ
ポルシェやメルセデスベンツ、フェラーリのような高級ブランド車は、中古市場でも人気が高く、特定のモデルは値崩れが起きにくい傾向にあります。
このような車種を選ぶことで、1年おきに買い替えても、ほとんどのコストをカバーすることが可能です。
6. 節税対策としての高級車の経費化:まとめ
中古の高級車をうまく活用することで、経営者は節税効果を最大限に引き出しながら、法人の負担を軽減できます。
特に、3年10ヶ月以上経過した中古車を購入し、減価償却を通じてその価格を短期間で経費化することで、法人税を大幅に減らすことが可能です。
また、メルセデスベンツのSクラスなど、税務署に認められやすい車種を選ぶことで、税務調査への対応もスムーズに進められます。
スーパーカーのような一見趣味に見える車種でも、業務に使用していることが明確であれば経費として認められる可能性があるため、適切な記録や証拠を整えることが重要です。
高級車を節税対策に活用する場合は、必ず専門家である税理士に相談し、適切なアドバイスを受けながら進めていくことが成功の鍵となります。
節税をしながら経営に必要な車両を維持し、効率的な経費化を目指しましょう。
このように、中古車を活用した高級車の節税スキームは、経営者にとって非常に有効な手段となり得ます。
特に、減価償却やリセールバリューを最大限に活用することで、短期間での節税効果を実現できます。
法人の経費計上において高級車の活用を検討されている方は、ぜひ当事務所にご相談ください。