税理士が教える青色申告のすべて(個人事業主編)

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田中将太郎公認会計士・税理士事務所です。今回は、個人事業主向けに「青色申告」を解説します。

「青色申告」という名前を聞いたことがある個人事業主の方はほとんどだと思います。しかし、「青色申告とは何か?」、「どのようなメリットがあるのか?」を詳細に把握している方は、それほど多くないのではないでしょうか。

そこで、この記事では、青色申告について3分程度で説明したいと思います。

所要時間: 3分.

青色申告について次の3ステップで解説します。

  1. 青色申告とは

    まずは、青色申告とは何かを説明します。

  2. 青色申告の5つのメリット

    次に、青色申告をする際のメリットを解説します。

  3. 青色申告を行うために必要なこと

    最後に青色申告を行う上で必要な書類の提出についても説明します。また、2020年(令和2年)に改正についても言及します。

青色申告とは

青色申告

青色申告とは、簡単に言うと、しっかりとした会計処理を行う人は、税務上の優遇を受けさせてあげるよ、という制度です。

厳密には、青色申告を行う人は、年度末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記により記帳し、その帳簿及び書類を7年間(書類によっては5年間)保存する必要があります(簿記の形式は「複式簿記」もしくは「簡易簿記」)。

正規の簿記の原則とは

「正規の簿記の原則と言われても、なかなか理解するのが難しいですよね。

現代では、会計システムを活用して、かつ、税理士や公認会計士の指導のもと適切な勘定科目や会計方針に従って記帳を行う限り、この条件を満たすことになります。

全く簿記を知らない人が専門家に頼らずにこの要件を満たすのは、ハードルが少し高いかもしれません。少なくとも、簿記の基礎のようなものをネット検索や書籍などで学習すると良いでしょう。

貸借対象表、損益計算書とは

貸借対象表と損益計算書がわからない人のために、非常に簡単に説明します。

貸借対照表とは、資産負債を管理する表。
損益計算書とは、売上、仕入、利益などの損益を管理する表。

簡易簿記と複式簿記とは

簡易簿記と複式簿記とは、以下のような定義になっています。

簡易簿記:1つの勘定科目を用いて、目的のみを記録する方法
複式簿記:2つの勘定科目を用いて、お金の動きと原因の2点を記録する方法

正直そんなこと言われてもどういう意味か分からないと思います。現代は会計システムが発達し、すべて複式簿記で対処可能ですので、複式簿記が皆さんにとって最も身近な方法と覚えておいてください。

当然ながら、単式簿記よりも複式簿記を行った方が、青色申告の場合のメリットが大きくなりますので、複式簿記のみを念頭に入れてもらえば大丈夫です。

※簡易簿記で10万円、複式簿記で最大65万円の青色申告特別控除となる。

青色申告5つのメリット

ここからが本番です。青色申告を行ったときのメリットを見ていきましょう。メリットは、主に5つあります。

1.最大65万円の青色申告特別控除

青色申告の場合は、所得から青色申告特別控除を差し引かれた後の金額に、税率がかけられます。

つまり、「青色申告特別控除額×税率」分だけ節税になります。
所得税率が30%、住民税率が10%の人は、65万円×40%(10%+30%)=26万円も節税できることになります。

以下の3つの要件を満たせば、青色申告特別控除が適用されます。

  • 不動産所得、又は、事業所得が生じる事業を営んでいる
  • 正規の簿記の原則に基づいて記帳をしている
  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、控除適用額を記載して法定申告期限内に提出すること

2.青色事業専従者給与の損金算入(必要経費として計上)

そもそも、白色申告(青色申告ではない)の場合は、事業主と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族に給与を支払った場合も、必要経費として損金算入することができません。

しかし、青色申告の場合は、一定額を「青色事業専従者給与」として控除できるのです。

青色申告の場合は、配偶者や親族に支払った「青色事業専従者給与」を損金算入できます。事業主の所得から「青色事業専従者給与」を差し引いた後の金額に税率が掛けられます。

つまり、「青色事業専従者給与×税率」分だけ節税になります。

しかし、金額に制限があり、配偶者が最高86万円、15歳以上の親族が最高50万円ですので注意してください。

この特典を受けるためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。

※事業的規模でない不動産貸付業を営む場合など、青色事業専従者給与の適用を受けることはできないので注意してください。

3.純損失の繰越控除

青色申告をすることで、赤字になった場合に、翌事業年度以降にその損失を繰り越し、翌期以降の利益と相殺し税額を減らすことができます。

事業開始初年度は、投資等がかさみ黒字化できないということがよくあると思います。そのような時に、この欠損金の繰越控除は、非常に有益です。

赤字の繰越しは翌年度から最長3年間にわたって繰り越すことだできます。

たとえば、2020年に100万円の赤字が出た場合、2021年、2022年、2023年の利益とこの100万円の赤字を相殺することができます。

2021年に利益が30万円出たとしても、2020年の赤字と相殺されて、2021年の課税所得(税務上の利益)は0円となります。

4.純損失の繰戻し還付

純損失の翌年度以降への繰り越しだけでなく、前年度への繰り戻しも可能です。つまり、当期発生した赤字を前年度(1年間のみ)の利益と相殺し、その分の税金の還付を受けることができます。

国税庁のホームページでは、以下のように2点に分けて説明されていますが、とりあえず、通常の法人の場合の以下①だけ把握しておいてください。

1その年に生じた純損失の金額の全部又は一部を前年分の所得金額から控除したところで税額を再計算すると差額の税額が還付となる場合、

2事業の全部の譲渡又は廃止その他これに準ずる事実が生じた方のうち、その事実が生じた年の前年に生じた純損失の金額があり、その純損失の金額の全部又は一部を前々年分の所得金額から控除したところで税額を再計算すると差額の税額が還付となる場合の手続きです。

5.貸倒引当金を計上

青色申告を行う場合、貸倒引当金の計上が可能となります。

貸倒引当金とは、取引先が倒産などで支払い能力がなくなったときの損失額を予測して、倒産確率に基づいて事前に費用を計上しておくことができる制度です。貸倒引当金の設定対象は、売掛金、受取手形、貸付金などをイメージしてください。。

貸倒引当金を税務上損金として計上するためには、青色申告決算書の「貸倒引当金繰入額の計算」という項目に該当金額を記入する必要があります。

また、前年に貸倒引当金を設定したが、倒産がなく貸倒損失が発生しなかった場合は、利益として戻し入れる必要があります。当期分の貸倒引当金よりも前期分の戻入金の方が多ければ、所得が増えてしまいますので注意しましょう。

このように貸倒引当金は、中長期的に考えた時にそれほど節税になるというものではないため、頭の片隅にいれておられる程度で大丈夫です。

青色申告を行うために必要なこと

青色申告を行うためには、前段で説明した正規の簿記の原則に従った記帳と帳簿・書類の保存に加え、事前に税務署に届出が必要です。

青色申告をしたい場合は、青色申告をする年の3月15日までに、開業届と一緒に青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しなければなりません。何も出さなければ、自動的に白色申告者になります。

また年の途中(1月16日以後)に新たに事業を開始する場合は、事業開始から2カ月以内にこの青色申告承認申請書を提出する必要があります。

所得税の青色申告承認申請書

2020年(令和2年度)の改正で電子申告が要件に。

2020年(令和2年)から青色申告特別控除65万円の要件に電子申告または電子帳簿保存の要件が加わりました。

電子申告を行わない場合は、控除額が65万円から55万円に減額されてしましますので、これを機会にぜひeTaxでの申告に切り替えてみてはいかがでしょうか。

この点、税理士事務所を選ぶ時にも注意が必要です。電子申告を行っていない税理士事務所もあるので、そのような税理士事務所に依頼されている場合は、10万円分の控除を取り損ねることになります。

今後は、税理士と契約する際には、電子申告を行っているかを確かめることをオススメします。

まとめ

いかがでしょうか?青色申告について理解が深まったと思います。正規の簿記の原則に基づく記帳やeTaxでの申告などハードルは高いですが、ぜひチャレンジしてみてください。

田中将太郎公認会計士・税理士事務所では、オンライン面談を中心に東京都や北海道札幌市だけでなく、全国各地のお客様にサービスを提供しています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

※田中将太郎公認会計士・税理士事務所は、電子申告で行っていますので、青色申告のメリットもフルでご活用頂けます。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎(公認会計士、税理士)

田中将太郎公認会計士・税理士事務所 代表

<事務所概要>
東京および北海道札幌を拠点とする公認会計士・税理士事務所。 会社設立から税務顧問、経営戦略まで成長ステージごとに段階的に支援します。

<代表略歴>
北海道旭川市出身の公認会計士・税理士。慶応義塾大学経済学部、シカゴ大学経営大学院で経済、経営、ファイナンスを学ぶ。 公認会計士として国際監査やアドバイザリーに従事後、経営戦略コンサルタントとして大企業を中心に経営戦略やマーケティングを支援。 現在は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所の代表(東京・北海道札幌)。


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