デューデリジェンス(DD)とは何か?ー 田中将太郎公認会計士・税理士事務所

Due Diligence

組織再編や企業買収(M&A)などの際によく聞くデューデリジェンスについて解説します。

デューデリジェンス(DD)は、M&A等の対象となる会社の事業や財務・税務などの状況を調査することです。企業買収や組織再編、経営統合を考える際の対象会社または事業の実態調査といえます。

デューデリジェンス(DD)と言っても、いくつかの種類があり、実施することも異なります。そこで、デューデリジェンス(DD)とは具体的にどのようなことを言うかを解説していきます。

本記事は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所の監修です。

所要時間: 5分.

本記事は以下の3部構成で、読むのに5分程度かかります。

  1. デューデリジェンス(DD)とは

    まずはデューデリジェンスとは何かを解説します。

  2. デューデリジェンスの目的

    次にデューデリジェンスの目的を説明します。

  3. デューデリジェンスの種類

    最後にデューデリジェンスの種類について解説します。

デューデリジェンス(DD)とは

デューデリジェンスとは、投資を実行する際に、投資対象となる対象会社の企業価値や事業上生じうる様々なリスクを調査する手続きのことです。

英語表記では、「Due Diligence」と記載されます。

デューデリジェンス(Due Diligence)とは、投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを指します。

デューデリジェンス(DD)の意義

企業経営におけるすべての意思決定は、事実を確かめることからはじまります。企業買収や組織再編、経営統合を考える際には企業の実態調査は不可欠です。

特に近年経営者の説明責任が問われており、企業買収や組織再編、経営統合などの取引の合理性を株主をはじめとする利害関係者に説明するためには、事前に十分な実態調査、つまりデューデリジェンスを行う必要があります。

デューデリジェンス(DD)の活用方法

デューデリジェンスには、ビジネス、財務、税務、法務、人事・労務、環境というような異なる視点から行うといったさまざまな観点からの調査が含まれます。

企業合併や経営統合などのM&Aに伴うデューデリジェンスの場合は、その結果が、M&Aの契約内容の交渉の際に活用され、発見したリスクなどが買収価格等に影響を与えられます。また、契約書における保証対象など条項の設定にも役立てられます。

デューデリジェンス目的

Discussion

デューデリジェンス(DD)を実施する目的は、主に5つあります。

企業価値算定

対象会社の企業価値がどの程度かを算定し、買収価格等の算定に役立てることを目的とします。

M&A戦略

自社の企業成長を実現する上で、どのような会社を買収することで自社の企業価値を高めていくことができるかをデューデリジェンスに基づいて検討できるようにします。

M&Aストラクチャリングの分析

当初意図していたストラクチャーでよいか否かの検討材料とする

ストラクチャーとは、一般的に構造・組織などと訳されますが、M&Aでは対象会社(事業)を買収・合併する際の手法として用いられます。

M&Aのストラクチャーには、株式の取得、株式交換、株式移転、合併、会社分割、事業譲受および現物出資等の手法があり、単独のストラクチャーの選択だけでなく複数のストラクチャーを組み合わせる場合もあります。

M&Aの契約条件の検証

契約で取り決めておかなければいけないリスク項目を洗い出し、契約締結を行うための対応策を検討します。

M&A後の統合の準備

買収後に問題となる事項を事前に検出し、M&A後にスムーズに対処できるように準備を行うことができるようにします。

デューデリジェンス(DD)の種類

デューデリジェンス(DD)には様々な種類のものがあります。

その中でも財務デューデリジェンス、法務デューデリジェンスが重要視される傾向にあります。

ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスとは、ビジネスとしての筋の良し悪しを評価することです。

ビジネスデューデリジェンスにおいて、その企業が属する市場の成長性の分析や競合分析、その中での対象会社のポジショニングを調査します。

ビジネスデューデリジェンスの実施によって、買収前の段階で、その対象会社が今後どれくらい成長するポテンシャルを有しているかを確認し、M&Aによる投資意思決定に役立つ情報を得ます。

他のほとんどのデューデリジェンスが企業内部の状況に焦点をあてるのに対して、ビジネスデューデリジェンスは、市場全体の外部要因を分析し俯瞰的に対象会社のビジネスを評価することを目的とします。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、企業の過去の財務情報を分析し企業価値評価を算定します。

財務デューデリジェンスを実施する上で、主に次のような事項を検討します。

・保有資産や負債(借入金や買掛金等の債務)などの貸借対照表(BS)の評価・検証
・収益性に関する過去の実績などの損益計算書の情報の把握
・キャッシュ・フロー状況の分析
・同族会社や関連会社間の取引内容の把握
・不正な会計処理の有無の確認、など

財務デューデリジェンスは、監査法人が上場会社などに行う財務諸表監査とは異なり、財務諸表上の数値の実在性や正確性を担保するものではないのが一般的です。

財務諸表上のが他のデューデリジェンスと比較したときに、極めて重要な影響を及ぼします。調査内容によっては、組織再編や買収後の状況が現状より悪化することも考えられるからです。

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスは、法人税や法人事業税、消費税などの税務申告が適正に行われているかを検証します。

また、繰越欠損金がある場合は、M&A後の影響についても検証します。

税務デューデリジェンスを行うことで、税務上の有利・不利の判定やM&A後の税務調査における指摘のリスクを事前に把握することができます。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、対象企業の企業活動における法的なリスクを調査します。

・取引先との契約上のリスク
・訴訟案件の有無とそのリスク
・所有権や技術特許などの事業上の権利の帰属
・許認可、登記関係が適切に行われているか、など

これらの法的なリスクを事前に確認することで、M&A後に訴訟や和解、任意整理などのコストや時間が浪費されるリスクを見積ります。

人事・労務デューデリジェンス

人事デューデリジェンスとは、人事や労務に関する調査を指します。

人事デューデリジェンスを行なうことで、M&A後の組織における従業員の年金や退職金を把握したり、優秀な人材を確保し続けることができるかどうか、などを把握します。

M&Aでは、異なる企業文化が統合されることによる様々な組織内の摩擦が起こることが予想されます。たとえば、報酬や人事評価システムの変更における従業員のモチベーションの低下や優秀な人材の流出などのリスクがあります。

人事デューデリジェンスを行うことでこのようなリスクを最小限に抑えるための事前情報を取得することができます。

ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスは、M&Aによる管理システムの統合をどのように進めるべきか、などを調査します。

通常の企業は様々なシステムを有しており、顧客管理や販売管理システム、人事労務システム、財務会計システムなど多岐に渡します。

そして、買収する企業と買収される企業でシステムが異なる場合やその連結や統合方法について事前に情報を得ることで、システム統合の時間やコストを最小化すると共に、M&A後にスムーズに事業運営を行っていきます。

環境デューデリジェンス

環境デューデリジェンスとは、不動産取引、証券化および融資等の場合において、土壌汚染などの土地建物に付随する環境上のリスクを調査します。

また、環境問題に対する世界的な関心が高まっている昨今において、環境リスクは、企業価値の既存につながる恐れもありますので、環境デューデリジェンスの重要性は高まっています。

デューデリジェンス実施時の注意点

デューデリジェンス(DD)を行う上での注意点を簡単に説明しておきます。

デューデリジェンスのタイミング

デューデリジェンス(DD)を行うタイミングは最も注意を払うべきことでしょう。

デューデリジェンス(DD)は、通常は企業買収や組織再編を行う前の段階で実施します。

しかし、企業買収や組織再編などのM&Aが実施されるという情報は、取引先や周辺の企業に対して大きな影響を与える可能性が高いです。そのため、企業買収や組織再編などのM&Aの噂が流れてしまうと、取引関係に影響を与える可能性があります。

また、対象会社の企業内部においても、従業員が不安を抱えたり、人材の流出に繋がったりするリスクがあります。

一方で、デューデリジェンス(DD)をゆっくり進めすぎると企業買収時には、他の企業が対象会社への買収に乗り出して、企業買収ができないケースや買収価格が不当に吊り上がってしまう場合もあります。

デューデリジェンス(DD)の実施タイミングについて、スピーディーかつ慎重に決定する必要があります。

デューデリジェンスの優先順位

企業買収や組織再編などのM&A時に、これまで説明したすべてのデューデリジェンスを行うことは必ずしも一般的ではありません。

もちろんすべてのデューデリジェンスを実行することが望ましいですが、実施するデューデリジェンスに優先順位をつけることで費用と時間を無駄にせずにすみます。

そのM&Aにおいて必要と認められるデューデリジェンスを効率よくスピーディーに行うことが、M&Aを成功に導きます。

そこで、デューデリジェンスを実施する前に、どのデューデリジェンスを実施すべきかを明確にする必要があります。どのデューデリジェンスを選択するかを決めるためには、その企業買収が何を目的としたものなのかを明確にしてください。その企業単体の将来的な成長性に魅力を感じているのか、買収後のシナジー効果が重要なのか、あるいは、ファイナンス面で改善を行い再度売却したいのか、などです。

M&Aの目的を明確化することで効率的かつ効果的なデューデリジェンスを行い、M&Aを成功させることができます。

デューデリジェンスの専門家利用

実施するデューデリジェンスを決めたら、専門家に依頼する必要があります。中小企業の場合、良く考えずにM&Aの仲介会社や顧問税理士などに任せてしまうケースがありますが、本当にそれで大丈夫かを検討する必要があります。

それぞれのデューデリジェンスにおいてより適した公認会計士、税理士、弁護士、経営コンサルタントなどを選定することで、より質の高いデューデリジェンスを実施することができます。

デューデリジェンスにおける基本的な調査に加え、M&A後の事業展開のシナリオについてのアドバイスをしてくれるところに依頼すると良い結果を得られる可能性がアップするでしょう。

まとめ

いかがでしょうか。デューデリジェンスについての理解が進みましたでしょうか。

事業の売却や買収、組織再編などを検討されている場合は、まずは専門家に相談してみてください。

田中将太郎公認会計士・税理士事務所でも初回は無料でM&Aに関する相談を承っております。

無料の簡易企業価値評価や全国各地、海外でのM&Aの情報のご共有も行っておりますので、お電話、メール、問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

※田中将太郎公認会計士事務所を中心とした弊所グループでは、クライアント企業のニーズ、案件の特性を考慮して、調査対象企業の業界はもちろん、会計、税務、年金など幅広い分野に精通した専門家を配員し、効果的かつ効率的な各種デューデリジェンスサービスを提供します。

また、国内のみならず、海外においても田中将太郎公認会計士事務所のグローバルネットワークを活用したビジネスDD、財務DD、税務DD、人事・労務DD、ITDDを高い品質で提供しております。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎(公認会計士、税理士)

田中将太郎公認会計士・税理士事務所 代表

<事務所概要>
東京および北海道札幌を拠点とする公認会計士・税理士事務所。 会社設立から税務顧問、経営戦略まで成長ステージごとに段階的に支援します。

<代表略歴>
北海道旭川市出身の公認会計士・税理士。慶応義塾大学経済学部、シカゴ大学経営大学院で経済、経営、ファイナンスを学ぶ。 公認会計士として国際監査やアドバイザリーに従事後、経営戦略コンサルタントとして大企業を中心に経営戦略やマーケティングを支援。 現在は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所の代表(東京・北海道札幌)。


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