交際費と会議費の違いとは?
経費をそれぞれの勘定科目に振り分ける際、「交際費」と「会議費」は線引きが明確にわからず、振り分けに迷ってしまう項目のひとつです。
どちらも業務上の人との関わりにかかる経費ですので、例えばこの飲食代はどちらの科目になるのか、というようなことはどのような目的で使用したのかによって判別されます。
今回はこの「交際費」「会議費」の線引きを明確にしていきます。
本記事は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所の監修で配信いたします。
所要時間: 5分
- 「交際費」「会議費」とは
まず、そもそも「交際費」「会議費」とはどのように定義されているか説明します。
- 交際費と会議費の線引きについて
次に、交際費と会議費に分ける際の具体的な線引きについて説明します。
- どうすると節税になるのか?
最後に、交際費と会議費に関して、節税するための注意点を挙げていきます。
「交際費」「会議費」とは
まずは「交際費」「会議費」はどのように定義されているのか、また振り分ける際の注意点について説明します。
交際費とは
交際費とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するもの」と定義されています。
(参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm)
つまり、「仕事上の付き合いがある人(自社の社員含む)に対する接待」に対する支出が交際費となるのです。
具体的には飲食店での飲食、旅行・観劇への招待、お中元・お歳暮、結婚祝い金・香典などが、交際費に該当します。
交際費に該当しない場合はこんなとき
ただし、業務上の人との関わりに関する経費がすべて交際費となるわけではありません。 交際費に当たらないとされる場合は以下5つです。
(1) 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
(2) 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
(3) カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
(4) 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
(5) 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
会議費とは
会議費とは、業務に関する社内外の会議や打ち合わせの際に必要となる費用のことです。
具体的には、会議を行う会場の費用や資料代、飲食費などが含まれます。コンビニで買った飲み物やお弁当の経費を交際費に計上する方もいらっしゃいますが、会議や打ち合わせの際に買ったものであれば会議費となります。
会議費は、社員のみで行われるケースと、取引先など社外の人を含めて行われるケースの2つがあります。食事を提供する場合は、常識的な昼食にかかる金額を超えない程度の飲食物などに要する経費が会議費に該当します。
上述した(2)(4)に当てはまるものが会議費となります。
交際費と会議費の線引きについて
実際に交際費・接待費に勘定科目を分ける際、具体的な線引きについてより詳細に説明していきます。
会議費に分類される場合
会議費に分類される場合は、以下の通りです。
①参加者1人当たり費用が5,000円以下であること。
②飲食かそれに類する行為が含まれていること。
③「一定要件」を満たしている
1人につき5,000円以下の飲食代は、交際費に含めず、その代わりに会議費として反映させます。(平成18年度の税制改正より) 一方で5,000円を超えるときは、交際費として計上します。(5,000円基準と呼ばれています。)
このケースにおける会議費の計算方法は、飲食代を参加人数で割って、5,000円以下であれば会議費に計上します。取引先と食事した際に交際費か会議費かを区別できるようにするため、このような基準が設けられています。
③の一定要件については、会議の詳細を記載して保管しておく必要があります。 記載が必要な項目については、以下の通り定められています。
・会議・飲食のあった年月日
・参加した得意先や仕入先、その他事業に関係ある者の氏名や名称と関係
・参加した人数
・飲食費用の額や、店舗の名称と所在地
一方で、一人5,000円以内だとしても、社内の飲み会は基本的には会議費に計上しませんが、
① 全従業員を対象(特定の従業員に対する支出は×)
② 常識的な金額(極端に多い場合は×)
上記の要件を満たしていれば、福利厚生費とすることができます。
交際費に分類される場合
交際費については、上述した「5,000円基準」に当てはまらない、つまり5,000円を超えた接待や飲食費が交際費として分類されます。
また、交際費を経費として計上するには、企業の規模ごとに限度があります。
節税するためには
では、節税するためにはどのような点に注意が必要でしょうか。
節税するためには
交際費は限度額が決まっているので、業務上の関わりにかかる費用をとりあえず交際費とするのではなく、きちんと正しい勘定科目で計上することが節税につながります。
「損金算入」をすることができれば節税となりますので、つまり「費用」が多いほど損金に入れることができる金額が多くなります。 会社にかかる経費はなるべくこの「損金」に含めることで節税となります。
損金算入とは
損金算入とは、法人税の計算をするときに会計上「費用」でなくても、税務上は「損金」扱いになることを指します。
損金とは、益金から差し引ける「原価」「費用」「損失」を意味します。 法人税は益金から損金を差し引いた額に課税されるため、損金算入の額が大きいほど法人税の課税対象額は小さくなり節税効果が高くなります。
交際費として計上するための注意点①
交際費については、該当する・しないの線引きが難しいため、税務署は非常に厳格かつ厳しいチェックを行います。そのため、交際費として計上する際には、将来的に税務調査が入る可能性を考慮して、その支出が交際費として妥当であることを証明するために、必ず領収書を保管しておくことが必要です。
そして領収書には、以下の5つの項目が入っていなければ交際費として認められません。
交際費を「どこで」「誰に」「いつ」「何に」使ったのかが明確に分かるようにしておくことが大切です。
交際費として計上するための注意点②
交際費として計上するために、税込経理であるか税抜経理であるかの確認が大切です。税込経理か税抜経理かによって、交際費と会議費のどちらであるかを判断する基準を超える可能性があるためです。
交際費か会議費かを判断する際には、上述した通り、5,000円を基準として考えます。このとき、税込経理では5,000円以内の金額でも、税抜経理であれば税金を合算すると5,000円を超えることがあります。
そのため、事前に税込経理であるか税抜経理であるかの確認をしておかなければなりません。税込経理であっても税抜経理であっても、税金を合算して5,000円以内であれば会議費として計上します。
このように、税込・税抜をきちんと確認することで、交際費または会議費として計上するのか把握することができます。 会議費は上限がないため、可能であれば会議費として計上し節税に繋げられるポイントとなりますので、事前にしっかり確認するようにしましょう。