グループ通算制度:交際費課税【公認会計士・税理士が解説】
こんにちは。田中将太郎公認会計士・税理士事務所です。
今回は、グループ通算制度における交際費の取り扱いについて解説していきます。
2022年(令和4年)4月1日から連結納税制度がグループ通算制度に移行されました。そして、令和4年度の税制改正において、交際費等の損金算入制度の適用期限が、2024年(令和6年)3月31日まで2年延長されました。 そこで、本記事では、グループ通算法人における交際費の損金算入はどのように取り扱いがなされるかについて簡単にまとめていきます。
次の2ステップで説明していきます。
- グループ通算制度における交際費取り扱いの概要
まずは、グループ通算制度における交際費の取り扱いの概要を解説します。
- 資本金額別の取り扱い
次に、グループ通算法人に所属する資本金額別に取り扱いが異なる点を解説します。
グループ通算制度における交際費取り扱いの概要
まずは、前提として押さえておくべこととしては、2022年(令和4年)4月1日から連結納税制度がグループ通算制度に移行されたことです。
一方で、令和4年の税制改正では、交際費等の損金不算入制度の適用期限が令和6年3月31日まで2年延長されました。
この点を含めて、グループ通算制度を適用する法人において、交際費がどのように取り扱われるかを考えていきます。なお、単体法人の取り扱いについては、従来と変更はありません。
資本金額別の取り扱い
通算グループ内における最も資本金が大きい法人の資本金額の大きさによって、取り扱いが異なっています。
最も資本金の額が大きい法人の資本金額の大きさによって、次の3つのパターンに分けられます。
- 資本金1億円以下の場合
- 資本金1億円超100億円以下の法人がいる場合
- 資本金100億円超の法人がいる場合
資本金1億円以下の法人がいる場合
すべてのグループ通算制度適用する法人(グループ通算法人)の資本金が1億円以下の場合、通算定額控除限度分配額の特例を適用し、通算グループ全体で限度額を分配することができます。
そこで、次のいずれかの方法を選択適用することができます。
①交際費等の額のうち、接待飲食費の額の50%に相当する金額を損金算入する方法
②交際費等の額のうち、通算定額控除限度分配額(グループ全体で年800万円)までの金額を損金算入。通算定額控除限度分配額は、次の算式に基づき算出する。
◆グループ通算子法人に対する通算定額控除限度分配額の計算
年800万円×そのグループ通算法人が支出する交際費等の額÷各グループ通算法人が支出する交際費等の額の合計金額
資本金1億円超100億円以下の法人がいる場合
グループ通算制度の適用事業年度終了の日において、通算グループ内のいずれかの法人の資本金の額等が1億円超100億円以下の場合は、すべてが資本金1億円以下の会社と異なり、通算定額控除限度分配額の特例を適用することができません。
しかし、交際費等の額のうち飲食に関する接待飲食費の額の半分(50%)までは損金算入することができます。
資本金100億円超の法人がいる場合
最後に、グループ通算制度の適用事業年度終了の日において、通算グループ内のいずれかの法人の資本金の額等が100億円を超える場合です。
この場合は、非常に厳しい取り扱いとなっており、通算グループ内のすべての法人が支出する交際費等の額が全額損金不算入となります。
まとめ
グループ通算制度における交際費等の額の取り扱いについて解説しましたが、いかがでしょうか。
最後に、グループ通算法人に所属する最も資本金が高い法人の資本金額ごとに、次の表でまとめていますので、ご参照ください。
最も資本金が高い法人の資本金額 | 交際費等の取扱い |
---|---|
①資本金1億円以下の法人 | いずれか選択 A. 交際費等の額の800万円まで全額損金算入 B. 接待飲食費の額の50%を損金算入 |
②資本金1億円超100億円以下 | 接待飲食費の50%を損金算入 |
③資本金100億円超の法人 | 全額損金不算入 |
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