給与支払報告書・法定調書を提出しよう
給与支払報告書、法定調書は、それぞれ税務署と管轄の市区町村への提出が義務づけられています。
具体的にどのような作業を行う必要があるのか、あまりピンとこない方も多いのではないでしょうか。
今回は、書類の記載内容や提出方法など、分かりやすく解説していきます。
所要時間: 3分
- 給与支払報告書を作成・提出しよう
給与支払報告書の作成方法を解説します。
- 法定調書を作成・提出しよう
法定調書の作成方法を解説します。
- まとめ
給与支払報告書を作成・提出しよう
給与支払者(法人や事業主)は、給与受取者(従業員)がその年の1月1日現在住んでいる市区町村に対し、1月31日までに給与支払報告書を提出します。
(例えば、令和7年1月31日までに提出する令和6年度分の給与支払報告書は、令和7年1月1日現在住んでいる市区町村に提出することになります。)
給与支払報告書は、個人別明細表と総括表をセットにして提出します。
個人別明細表の作成
個人別明細表(※1)は、源泉徴収票(※2)と同じ形式で各人1枚提出します。
ただし、本人に交付する書類とは異なり、個人番号や会社の法人番号を記載する必要があります。
この明細書をもとに、市区町村では給与受取者(従業員)の住民税額を決定します。
※1:個人別明細表は令和4年度提出分までは各人2枚の提出が必要でしたが、令和5年度提出分からは1枚に変更になりました。
※2:源泉徴収票の作成は「③年末調整って必要?(税額計算編)」の投稿で詳しく解説を行っています。
また、年末調整について、全3回にわたって解説を行っておりますので、まだご覧いただいていない方は、先ずはそちらからご確認ください。
総括表の作成
総括表は、個人別明細書の提出部数や提出市区町村の数などをまとめた表になります。
総括表は各市区町村によって形式が異なる場合がありますので、各市区町村の記載方法を事前に確認しましょう。
具体的には、以下の項目を記載します。
- 給与支払者の情報(法人番号、法人名、代表者名など)
- 事業種目
- 受給者人数 (1月1日現在の在職者数を記載)
- 報告人員
- 所轄税務署名
- 給与支払方法、期日
- 納付書の送付
- 指定番号
住民税徴収方法の選択
総括表の「報告人員欄」には、提出先の市区町村に対し、住民税の徴収方法である ”特別徴収、普通徴収(退職者)” を区別して、報告書を提出する人数を記載します。
特別徴収、普通徴収どちらを選んでも良いという訳ではなく、原則として、所得税の源泉徴収義務があるすべての事業者に住民税の特別徴収義務者として、住民税の特別徴収を行うことが義務付けられています。
他の会社で特別徴収されている人や、給与が少なく税額が引けない人など、一定の条件下で普通徴収を選択できる場合もありますが、基本的には特別徴収を行う必要があります。
※普通徴収を選択せざるを得ない場合は、「普通徴収切替理由書」の提出が必要です。
住民税を特別徴収する場合は、各市区町村から会社あてに、毎年5月末までに「特別徴収税額の通知書」が送付されますので、届き次第、従業員様にも共有してあげましょう。
法定調書を作成・提出しよう
法定調書は、源泉徴収票や支払調書などを含めた書類の総称です。
給与、報酬、利子、配当などの支払者が、支払先の住所、氏名などを記載し、税務署に提出します。
その年に支払った分を取りまとめて作成し、支払った年の翌年1月31日までに提出しなければいけません。
支払調書の種類
60種類の支払調書がありますが、以下6種類が基本の書類となります。
(国税庁参照リンク:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7401.htm)
①給与所得の源泉徴収票
②退職所得の源泉徴収票
③報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
④不動産の使用料等の支払調書
⑤不動産等の譲受けの対価の支払調書
⑥不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
※下記で、①③④について詳しく解説します。
上記の支払調書は、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を作成し、あわせて提出します。
給与所得の源泉徴収票
給与支払報告書(個人別明細書)と異なり、従業員全員の源泉徴収票を提出するとは限りません。
以下に該当する人は、源泉徴収票の提出が必要です。
①年末調整をした人
- 法人の役員で、その年の給与などの金額が150万円を超える人
- 従業員で、その年の給与などの金額が500万円を超える人
※弁護士、司法書士、公認会計士、税理士の従業員は250万円
②年末調整をしていない人
- 扶養控除等申告書を提出した人で、その年の給与などの金額が2000万円を超えるため、年末調整をしなかった人
- 扶養控除等申告書を提出した人で、その年に退職し、その年の給与などの金額が2,000万円を超える人
- 扶養控除等申告書を提出しなかった人で、その年の給与などの金額が50万円を超える人
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
以下の要件を満たす場合、支払調書の作成が必要です。
①弁護士や税理士などの専門家に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料などで、同一人に対するその年の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
②外交員、プロボクサー等の報酬、診療報酬などで、同一人に対するその年の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
※ここで判断する合計額は、基本的には消費税を含めて判断しますが、消費税が明確に区別されている場合は、消費税を含めない金額で記載しても問題ありません。
あくまでも、該当の支払いから”源泉所得税の徴収があった”場合のみ、支払調書を作成しますので、①②の要件を満たす場合でも、源泉所得税の徴収がないものは、支払調書の作成は必要ありません。
不動産の使用料等の支払調書
不動産などの賃借料の支払いをする「法人」と「不動産業者である個人」で、同一人に対するその年の支払金額の合計額が15万円を超える場合に支払調書の作成が必要です。
ただし、法人に支払われる地代家賃は支払調書の提出は不要になります。
上記をまとめると、以下の様に区別する必要があります。
【支払調書の提出が必要】
- 法人と不動産業者である個人が「法人に支払った権利金や更新料」
- 法人と不動産業者である個人が「個人に対して支払った権利金、更新料、地代家賃」
【支払調書の提出は不要】
- 一般個人(不動産業者である個人以外)が「法人や個人に支払った権利金、更新料、地代家賃」
- 法人と不動産業者である個人が「法人に支払った地代家賃」
まとめ
給与支払報告書、法定調書の作成や提出の流れは理解できましたか?
どちらも、提出を行わなかった場合には罰則を受ける可能性もありますので、正確に作業を進め、かつ期限内に提出をする必要があります。
弊社では年末調整、給与支払報告書、法定調書の作成まですべてのサポートを行っております。
ご不安な方は是非一度ご連絡ください。