2025年1月 締め切り迫る!給与支払報告書・法定調書の作成と提出手順 – 税理士が徹底解説

企業の経理担当者にとって、年始から準備が欠かせない重要業務が「給与支払報告書」と「法定調書」の作成・提出です。

2025年1月31日が提出期限となるこれらの書類は、適切な準備と正確な記入が求められるため、特に年明けの忙しい時期にミスが発生しがちです。

しかし、これらを怠ると企業や従業員にとって重大な影響を及ぼしかねません。

この記事では、2025年の最新情報に基づき、給与支払報告書と法定調書の概要や作成方法、重要なポイントを税理士事務所の視点でわかりやすく解説します。

経理業務をスムーズに進められるよう、具体的な作成手順をしっかりと把握しましょう。

1. 給与支払報告書とは? – 2025年版の概要と重要ポイント

給与支払報告書は、従業員が受け取った給与に関する情報を従業員が住む市区町村に報告するための書類です。

この情報をもとに、市区町村が翌年度の住民税を算定するため、正確な記載が求められます。

1-1. 提出期限と提出先

2025年の給与支払報告書は、2025年1月31日までに提出する必要があります。

従業員が2025年1月1日現在住んでいる市区町村に提出します。

例えば、2024年度の給与については、2025年1月31日までに従業員の居住市区町村に報告書を提出します。

1-2. 給与支払報告書の構成内容

給与支払報告書は「個人別明細表」と「総括表」の2つの書類から構成されています。

  • 個人別明細表

各従業員の給与収入、社会保険料控除、源泉徴収税額、個人番号(マイナンバー)などを記載します。

この個人別明細表をもとに、市区町村が各従業員の住民税を計算します。

  • 総括表

法人番号や提出する市区町村数、報告する人数、給与支払者の基本情報などをまとめた表です。

各市区町村によって様式が異なる場合があるため、確認が必要です。

1-3. 特別徴収と普通徴収の区別

給与支払報告書の総括表には、特別徴収と普通徴収の人数を記載する欄があります。

「特別徴収」は、企業が給与から天引きして市区町村に納付する方法で、すべての従業員に原則として適用されます。

「普通徴収」は、主に退職者や給与が少ない従業員に適用でき、普通徴収切替理由書の提出が必要です。

住民税の特別徴収は、従業員にとって利便性が高いため、できる限り特別徴収を選択することが推奨されます。

2. 法定調書とは? – 税務署への提出義務

法定調書は、企業が従業員や取引先に対して支払った給与や報酬、不動産の使用料などの支払情報を税務署に報告するための書類です。

給与支払報告書が市区町村への提出書類であるのに対し、法定調書は税務署への提出書類で、企業の支払状況を正確に把握するために活用されます。

2-1. 提出期限と提出先

法定調書の提出期限も2025年1月31日です。

税務署に提出するため、給与支払報告書と同様に期限厳守が求められます。

2-2. 主な法定調書の種類

法定調書には60種類以上の書類が存在しますが、企業が特に提出する必要があるのは以下の3種類です。

  • 給与所得の源泉徴収票

年間の給与が500万円を超える従業員や、役員に対して作成・提出が必要です。

役員報酬も含まれますので注意が必要です。

  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

弁護士や税理士など専門家に支払った報酬や、デザイナー・ライターなどへの業務委託費用が5万円を超える場合に作成します。

  • 不動産の使用料等の支払調書

不動産業者である個人または法人に対して賃貸料などを支払う場合に作成が必要です。

支払額が15万円を超えると提出義務が生じます。

3. 給与支払報告書と法定調書の具体的な作成手順

給与支払報告書と法定調書の作成は、細かな情報の正確な記載が求められるため、手順をしっかりと確認しながら進めましょう。

3-1. 給与支払報告書の作成手順

1. 個人別明細表の準備

各従業員ごとに給与支払報告書の個人別明細表を作成します。

年末調整で確定した源泉徴収税額や社会保険料、各種控除額などを正確に記載します。

また、法人番号や従業員の個人番号も記入し、取り扱いには十分に注意が必要です。

2. 総括表の作成

個人別明細表の提出枚数や報告する市区町村数、給与支払者の情報などを総括表にまとめます。

自治体ごとに若干様式が異なる場合もあるため、最新のフォーマットを事前に確認しておきましょう。

3. 市区町村への提出

すべての書類がそろったら、市区町村に給与支払報告書(個人別明細表・総括表)を提出します。

電子申告も可能なため、提出業務を効率化するために活用を検討してみましょう。

3-2. 法定調書の作成手順

1. 対象者の選定と調書の記入

報酬や給与を支払った相手の種類や支払金額に応じて、提出する法定調書を選定し、必要な情報を記入します。

2. 法定調書合計表の作成

すべての法定調書を集計し、法定調書合計表を作成して税務署に提出します。

3. 税務署への提出

法定調書は電子申告を利用することで提出が可能です。

電子申告により、紙媒体での提出にかかる手間やミスが軽減されるため、多くの企業が電子申告を活用しています。

4. 給与支払報告書と法定調書の提出期限を守らなかった場合のリスク

給与支払報告書や法定調書の提出期限を守らない場合、企業には以下のようなリスクが生じます。

  • 罰則金が科される可能性

提出が遅れた場合、企業には罰則金が課せられることがあります。

  • 従業員の住民税の算定遅延

住民税が正しく算定されないと、従業員の翌年度の給与天引き額が誤ってしまい、従業員の信頼を損なう恐れがあります。

5. 給与支払報告書・法定調書作成時の注意点と便利な対策

5-1. マイナンバーの適切な管理

個人番号(マイナンバー)は従業員のプライバシーに関わるため、厳重な管理が求められます。

マイナンバーの収集・保管時には取り扱いに注意し、業務終了後には適切に削除するなど、情報漏洩を防ぐための対策を徹底しましょう。

5-2. 特別徴収と普通徴収の区分

住民税は、原則として企業が給与から天引きする「特別徴収」で徴収されますが、一部の従業員(退職者など)については「普通徴収」を選択できます。

特別徴収は従業員の利便性が高いため、可能な限り特別徴収を適用するのが一般的です。

5-3. 電子申告の活用

給与支払報告書・法定調書は電子申告を活用して提出することで、作業負担が軽減されます。

提出に関するミスの削減や、手続きの簡素化に役立つため、電子申告の導入をおすすめします。

6. 税理士事務所が提供するサポート内容

給与支払報告書・法定調書の作成・提出は、税務や記載内容に関する専門知識が必要です。

当税理士事務所では、これらの書類作成から電子申告のサポートまで、幅広く対応しております。

  • 給与支払報告書・法定調書の作成代行

記載内容に関する相談から、書類の正確な作成とチェックまで、一括してお任せいただけます。

  • 電子申告サポート

電子申告に必要な環境設定から提出代行までをサポートし、手続きをスムーズに進められるようお手伝いします。

  • 特別徴収・普通徴収の区分判断

各従業員に適した住民税の徴収方法を判断し、必要な手続きをサポートします。

給与支払報告書・法定調書は、企業と従業員の信頼関係や企業の信頼性を支える大切な業務です。

正確な提出でトラブルを防ぐためにも、税務に関する疑問や不安があれば、税理士に相談することをおすすめします。

税務処理のプロフェッショナルとして、当事務所が皆様のサポートをいたします。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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