フリーランスのためのお金の管理術10選【公認会計士・税理士が解説】

フリーランスとして働く方にとって、お金の管理は事業を安定させるうえで非常に重要なテーマです。

収入が不安定な中で、計画的な資金管理ができていないと、将来的な資金不足や税金の支払いに困ることも少なくありません。

本記事では、公認会計士・税理士の視点から、フリーランスが知っておくべきお金の管理術を10個ご紹介します。

これからフリーランスを始める方も、すでにフリーランスとして活躍されている方も、ぜひ参考にしてください。

またYoutube動画でも関連内容を詳しく解説していますので、ご覧ください。

1. 収入と支出を見える化する

最初に取り組むべきなのは、収入と支出を見える化することです。

エクセルや家計簿アプリを活用し、毎月の収入と支出を記録しましょう。

このとき、以下の2つのカテゴリに分けることがポイントです。

  • 固定費:家賃や通信費、サブスクリプションなど、毎月一定額かかる費用
  • 変動費:飲食費、交際費、交通費など、月ごとに金額が変動する費用

これにより、自分がどの部分に多くのお金を使っているのかが明確になります。

特に、無駄な固定費を削減することは、長期的に見て大きな節約効果をもたらします。

2. 経費は積極的に計上する

フリーランスとして働く上で、経費を適切に計上することは節税対策の基本です。

経費として認められる項目は意外と多く、以下のようなものも対象となります。

  • 仕事用のパソコンやソフトウェアの購入費用
  • 打ち合わせで利用したカフェの飲食代
  • 業務用の通信費(インターネットや携帯電話)
  • 家賃の一部(自宅兼事務所の場合)

これらを経費として計上することで、課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

ただし、プライベートと事業の境界が曖昧な場合は税務署に否認されるリスクもあるため、計上の際には注意が必要です。

必要に応じて税理士に相談すると安心です。

3. 税金用の口座を別に用意する

フリーランスには、所得税や消費税などの税金を自分で支払う義務があります。

しかし、確定申告の時期に「税金の支払い分が足りない!」という事態に陥る方も少なくありません。

そこで、収入があった際には、20~30%を目安に税金用の口座に移しておくことをお勧めします。

あらかじめ資金を確保しておくことで、税金の支払いもスムーズになります。

4. 生活費を3ヶ月分ストックする

収入が不安定なフリーランスにとって、生活費の備えは非常に重要です。

特に、収入が減少する時期に備えて、3ヶ月分の生活費を貯金しておくと安心です。

例えば、月々の生活費が20万円の場合、60万円を目安に貯蓄しましょう。

このストックがあるだけで、収入が不安定な時期でも精神的な余裕を持つことができます。

5. インボイス制度を理解しておく

2023年10月に開始されたインボイス制度は、フリーランスにも影響を与える制度です。

この制度では、適格請求書(インボイス)を発行できるように登録を行う必要があります。

インボイスに対応していない場合、取引先から消費税分を控除されるリスクがあります。

登録の有無や適用条件については、事前にしっかりと確認しておきましょう。

6. 確定申告の準備を年間通じて行う

フリーランスにとって、確定申告の準備を早めに進めることは必須です。

毎日の業務の中で、以下の作業を習慣化しましょう。

  • 領収書や請求書の整理
  • 支出や収入の記録
  • 会計ソフトの活用

これにより、年度末に急いで作業する必要がなくなり、ミスを防ぐことができます。

税理士に依頼する場合でも、準備が整っていればスムーズに申告が完了します。

7. ファイナンシャルプランナーに相談する

お金の管理に自信がない方は、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談も検討してみてください。

FPは以下のような分野でアドバイスを提供してくれます。

  • 資産運用の方法
  • 保険商品の見直し
  • 将来のライフプランの設計

税理士と連携することで、税金対策と資産運用の両面からサポートを受けることも可能です。

8. 定期的に支出を見直す

フリーランスは、収入に応じた柔軟な支出の調整が重要です。

特に、以下のような項目は見直しの余地があるかもしれません。

  • サブスクリプションサービスの利用状況
  • 高額な保険料のプラン内容
  • 事業に必要ない交際費

これらを定期的にチェックし、必要に応じて契約を見直すことで、無駄な出費を抑えることができます。

9. 小規模企業共済やiDeCoを活用する

フリーランスは、会社員と異なり退職金制度がないため、将来に向けた資産形成が重要です。

そのための選択肢として、以下の制度があります。

  • 小規模企業共済:退職金の代わりとなる共済金を受け取れる制度。掛金は全額所得控除の対象。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):自分で運用する年金制度。掛金が所得控除の対象となり、老後資金を効率的に貯めることができます。

どちらも節税効果が期待できるため、早めに活用を始めると良いでしょう。

10. 自分への「給与」を設定する

最後に、自分に給与を支払う感覚を持つことが大切です。

事業の収益から毎月一定額を「給与」として取り分けることで、プライベートな支出と事業資金を分けて管理できます。

これにより、生活費の見通しが立てやすくなり、資金繰りの安定にもつながります。

まとめ

フリーランスとして働く上で、お金の管理術を身につけることは事業の成功と安定の鍵を握ります。

本記事で紹介した10の方法を活用し、健全な財務状況を確保しましょう。

当事務所では、フリーランスの方に向けた税務相談や経理サポートを行っております。

お金の管理に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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