令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」について
2024年12月17日、令和6年度補正予算が臨時国会で成立しました。
予算案全体の構成は「1.日本経済・地方経済の成長」「2.物価高の克服」「3.国民の安全・安心を確保」の3本柱となっています。中小企業支援に関する内容については、中小企業庁のHPに補助金のポイントが掲載されています。
中小企業・小規模事業者に関する令和6年度補正予算では、ポイントとして5つの重点的項目が掲載されています。
- 持続的な賃上げを実現するための生産性向上・省力化・成長投資支援
- 価格転嫁対策の強化
- 資金繰り支援、経営改善・事業再生・再チャレンジ支援
- 中小企業・小規模事業者活性化
- 災害からの復旧・復興
今回は「1.持続的な賃上げを実現するための生産性向上・省力化・成長投資支援」に含まれる「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」に着目します。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
「もの補助」と呼ばれる補助金のことです。
目的
本補助金は、中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援することが目的です。
補助額
この補助金には、以下の2つの枠が準備されています。
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
どちらも事業総額の2分の1が補助されます。小規模事業者においては3分の2まで補助されて、補助上限額は2,500万円です。
対象
補助の対象となるのは、以下の通りです。
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
などです。
注意点としては、対象外となる経費の代表的なものとして、パソコン・プリンタ・タブレット端末・スマートフォン等があります。
これらの機器は汎用性が高く、対象事業を区別することが難しい設備とされているので、補助金の対象外となります。また、自動車等の車両なども対象外となります。
これは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」に限らず、おおむね他の補助金でも同様の考え方として適用されます。
条件
申請の要件として、以下を満たしたうえで申請書を作成することが必要になります。
①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
付加価値額とは、各補助金で定義は異なりますが、おおむね以下のとおりです。
- 付加価値額=営業利益高+人件費+減価償却費
- 人件費=いわゆる「給料」に関するもの(賞与や役員報酬も含む)に加え、退職金や福利厚生費、法定福利費なども含まれます。
② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
税金や社会保険料を控除する前の給与、手当、賞与の合算です。通勤交通費は含まない形で算出します。また、従業員がいない場合でも申請可能です。
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
補助金事務局による上記要件のフォローアップとして、事業開始後、毎年4月時点で以下を計6回報告する必要があります(5年間の事業の場合、過年度実績より)。
- 直近月(3月)の最低賃金
- 直近決算期の付加価値額・給与支給総額等の実績
- 補助事業の収益化状況
現時点では公募時期は公開されておりません。申請方法は電子申請になる予想です。
税金による補助金なので多くの制約事項・提出書類がありますが、事業拡大に資する補助金であるといえます。
今から計画を練り、公募開始と同時に申請できるよう準備を進めていきましょう。
弊所では、事業着手前から補助金のサポートを行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
(出典:中小企業庁)