雑所得とは?:副業での収入で使われる雑所得を徹底解説【公認会計士・税理士監修】
今回の記事では、雑所得について解説していきます。
副業を行っている人、仮想通貨の取引を行っている人、助成金をもらった人などは、この雑所得に区分される所得が発生している可能性があります。
雑所得について詳しく見ていきましょう。
所要時間: 3分
3ステップで解説していきます。
- 雑所得とは何か?
まずは雑所得とはどのような所得かを解説します。
- 総合課税となる雑所得とは?
次に、雑所得のメインとなる総合課税となる雑所得について詳しく解説します。
- 雑所得の税額の計算方法は?
最後に、雑所得の税率の計算方法を解説します。
雑所得とは何か
雑所得とは、その他の通り、国税庁が定義する所得区分のいずれにも当たらないその他の所得を指します。
雑所得の定義
雑所得の定義としては、次のようになります。
「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。」
総合課税の雑所得
雑所得は大きく分けると「総合課税」と「分離課税」に分けられます。
「総合課税」とは、各種の所得金額を合計して所得税額を計算する方法をいいます。
所得には、給料所得、事業所得や利子所得などのように様々な種類の所得があるので、税率を計算する際に、それらの所得を合算した上で税率を計算します。
所得税は、累進課税となっているので、所得が高ければ高いほど、税率が高くなります。そのため、雑所得の総合課税の場合は、同じ金額の雑所得があったとしても、給料所得などがあり所得が高い人は、雑所得のみで他の所得がない人に比べて、税率が高くなります。
分離課税の雑所得
基本的には、ほとんどの雑所得が総合課税となるのですが、一部、分離課税となる雑所得があります。それは、「先物取引に係る雑所得等」です。つまり、FXやオプション取引に係る雑所得をいいます。
この「先物取引に係る雑所得等」の場合は、、所得税15%、地方税5%の税率による申告分離課税とされているため、給料所得があり所得が高い人でも他に所得がない人でも同じ税率が一律で課されます。
所得が高い人にとっては、非常にありがたい制度ですね。
総合課税となる雑所得とは
分離課税となる雑所得は、「先物取引に係る雑所得等」であり、それ以外は基本的には、総合課税の雑所得になります。
しかし、この総合課税の雑所得も大きく3種類に分けられます。なぜ3つに分けられるかというと、計算方法が異なるからです。なかなか複雑ですね…
1.公的年金等の雑所得
まずは、「公的年金等」に関する雑所得です。この雑所得となる主な公的年金等は、次のものであると国税庁が限定列挙しています。
- 公的年金(国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定によるもの)
- 企業年金(過去の勤務により勤務していた会社などから支払われる年金)
- 外国の同様の制度に係る年金(外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険または共済制度に類するもの)
計算方法は、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算されます。この公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められていますが、ここでは詳しく説明しません。
<計算式>
公的年金等の雑所得 = 収入金額 – 公的年金等控除額
2.業務に係る雑所得
次に、「業務に係る」雑所得です。この「業務に係る」とは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的な活動によって生じていることを意味します。
<計算式>
業務に係る雑所得 = 総収入金額 – 必要経費
この業務に係る雑所得については、要件に該当する場合は、補足資料をつける必要があります。
所得金額要件 | 必要書類 |
---|---|
①前々年分の雑所得の収入金額が300万円を超える場合 | 「現金預金取引等関係書類」を保存が必要。(※1) |
②前々年分の雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合 | 総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(例えば、収支内訳書など)の添付が必要。 |
(※1)なお、その年の前々年分の収入金額が300万円以下の場合は、業務に係る雑所得の金額の計算上総収入金額および必要経費に算入すべき金額は、その年において収入した金額および支出した費用の額とすることができます(いわゆる現金主義の特例)。ただし、この特例を受けるには、確定申告書にこの特例を受ける旨を記載しなければなりません。
3.その他の雑所得
最後に、公的年金等の雑所得、業務に係る雑所得に当たらない場合の雑所得は、この「その他」の雑所得となります。ここには、仮想通貨(暗号通貨)による所得や雑所得とする必要がある助成金による所得などが含まれます。
<計算式>
その他の雑所得 = 総収入金額 – 必要経費
雑所得の税額の計算方法は?
雑所得の金額は、給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。
ただし、一定の先物取引による所得については申告分離課税適用されます。
総合課税となる所得を合算する
総合課税の場合は、雑所得として区分された所得に加え、給料所得や事業所得などを合計した金額に基づき税率を計算します。
合算した所得に基づき税率を算定する
税率は、次のようなテーブルに基づいて計算されます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
参考:国税庁HP「No.2260 所得税の税率」
所得税は累進課税となっているため、所得に応じて税率が5%~45%の7段階です。2037年までは、復興特別所得税として、2.1%も徴収されます。
まとめ
ここまで雑所得についてみてきましたが、雑所得に関する理解は深まりましたでしょうか?
雑所得は、総合課税と分離課税に分けられ、総合課税もさらに公的年金等の雑所得、業務に係る雑所得、その他の雑所得の3つに分けられます。
まずは、雑所得の構造を理解した上で、適切な確定申告を行っていきましょう。
個人の所得の確定申告を田中将太郎公認会計士・税理士事務所(田中国際会計事務所)に依頼したい方は、こちらまでお気軽にお問い合わせください。