相続税申告が必要な場合は?

相続税の申告が必要な方はどのような方なのでしょうか。

相続税の申告が不要かどうかの判断は「相続した財産の総額が、相続税の基礎控除額以下」であれば、申告不要となります。

ただし、この計算をする際には、相続財産の金額を正確に計算し、見落としがあるかどうか等を正しく計算する必要がございます。

また、上記の計算で「相続税の申告が必要ない」となっただけで自分は面倒な申告手続きをしなくていいんだと判断するのは危険です。

この記事は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所が解説してきます。

所要時間: 5分

  1. 相続税の基礎控除額の正しい計算方法

    相続税の基礎控除額の計算方法についてご説明します。

  2. 相続した財産の正しい計算方法

    申告に必要な財産の判断方法からご説明し、具体例を用いて解説していきます。

  3. 申告不要かの判定で注意すべき点

    最も注意すべき3点をそれぞれ解説します。

  4. 相続税がゼロでも申告した方が良いケース

    最後に、申告することで税額が軽減される特例についても述べます。

相続税の基礎控除額の正しい計算方法

先ず基礎控除額の計算手順や注意点を含めて詳しく説明します。

計算方法は非常にシンプルで「3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )」となります。

この基礎控除額と相続した財産の総額を比較して、基礎控除額の方が大きくなければ相続税の申告は必要ありません。

法定相続人の数

基礎控除額を算出するためには、先ずは法定相続人の数を確認しましょう。

法定相続人とは、法律上、遺産を相続できる人のことで、以下の(1)及び(2)の人のことをいいます。

(1)配偶者相続人:被相続人の妻や夫

(2)血族相続人:被相続人の子どもや親、兄弟姉妹など血のつながった親族

配偶者は必ず法定相続人になります。 血族相続人は、以下の相続順位がもっとも高い人のみが法定相続人になります。

相続順位は、

◎第1順位:被相続人の子ども(子どもが”以前死亡”の場合は孫)

◎第2順位:被相続人の父母

◎第3順位:被相続人の兄弟姉妹

となります。

相続した財産の正しい計算方法

先ずは相続する財産をすべて洗い出します。

ここで財産の見落としをしてしまうと、相続税の申告が不要かどうかを正確に判断できませんので、見落としのないように慎重に調べてください。

また、財産とは現金預貯金、不動産はもちろん、 被相続人が持っていた株式、車や貴金属、骨董品なども確認しましょう。 財産に該当するのか迷った場合は、それが「金銭に見積もることができる」かどうかで判断されてみるといいと思います。

さらに相続財産とは金銭的な価値のあるもの(以下、積極財産)だけではなく、借金・住宅ローン、未払の税金等(以下、消極財産)も相続財産として合算する必要があります。

以下におおまかにまとめましたので、参考にしてください。

【積極財産】

  • 現金(財布の中、自宅にあるもの)
  • 被相続人名義の預金(普通預金、定期預金など)
  • 不動産(土地、家屋、農地、借地権など)
  • 動産(宝石類、車、美術品など)
  • 保険(死亡保険、損害保険など)
  • ゴルフ会員権など

【消極財産】

  • 借金、住宅ローン、未払金
  • 葬式費用(葬儀にかかる費用、お布施)
  • 損害賠償の責任

財産を全てリストアップしたら次は具体的な計算に進みます

積極財産-消極財産=課税遺産総額

以下、課税遺産総額と言います。

課税遺産総額と基礎控除額を比較する

上述の計算で算出した課税遺産総額と基礎控除額を比較して、基礎控除額の方が大きければ相続税の申告は必要ありません。

つまり、課税遺産総額の方が大きければ、申告が必要となります。

具体例『課税遺産総額が1億円、法定相続人が4人の場合』

1億円-5,400万円(600万円×4人+3,000万円)=4,600万円 ⇒申告が必要! 

4,600万円に対して相続税が課せられます。

申告不要かの判定で注意すべき点

以下に最も注意すべき点を3つあげていきます。

相続財産に見落としがないか

現金はよく見落としがちです。 タンス預金などがないか注意しましょう。

また、名義預金の有無にも注意が必要です。 名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を出した人が違う預金のことです。 よくあるケースとしては、孫や子のために祖父母が預金していたり、収入が無いはずの専業主婦が夫の給料を自分名義の口座で管理していたりといったことが挙げられます。

被相続人が商売をやっていた場合には自社株式、役員借入金、売掛金などにも注意しましょう。

相続前3年以内に被相続人からの贈与はないか

生前贈与については、財産を贈与した人が亡くなると、その死亡時からさかのぼって3年以内の贈与は積極財産に加算します。

例えば、親から子に毎年100万円ずつ生前贈与していた場合、親が亡くなると、直近3年分の贈与(100万円×3年=300万円)は積極財産に加算しなければなりません。

基礎控除の範囲内だったと思っていても、この3年以内の生前贈与を合算すると基礎控除を超えるケースもありますので、必ず調べてください。

※2024年以降に贈与される財産については、この期間が順次7年まで延長されます。

被相続人からの贈与で相続時精算課税制度を利用していないか

「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫への生前贈与について、2,500万円までの贈与税が非課税とすることができる制度です。

とはいっても、まったく税金を支払わなくていいわけではなく、相続時に贈与財産を合算して計算しなければなりません。

つまり、生前贈与をする時は2,500万円までは贈与税は非課税ですが、贈与した人が亡くなった時には相続税を課税しますという制度です。

もし被相続人がこれを利用して生前贈与したことがあれば、課税遺産総額が基礎控除内であっても相続税の申告が必要になるケースがあります。

また、3年以内に生前贈与があるか、相続時精算課税を利用しているのか分からない場合もあります。

その時は「贈与税の申告内容の開示請求」制度をご利用してみてはいかがでしょうか。

この制度は相続または遺贈により財産を取得した人が被相続人住所地を管轄する税務署に対して開示請求書を提出することで利用することができます。

相続税がゼロでも申告した方が良いケース

基礎控除で相続税が発生しなければ申告は必要ありませんが、相続税がゼロであれば、どんな場合でも申告が必要ないわけではありません。

相続税はゼロでも申告が必要なケースもあることに注意してください。

相続税には、以下の通り申告をすることが要件とする税額が軽減される特例等がいくつかあります。

  • 配偶者の税額軽減
  • 小規模宅地等の特例
  • 農地の納税猶予の特例
  • 特定計画山林の特例
  • 相続財産を公益法人などに寄付した場合の非課税の特例

また、相続税の申告の必要がない場合でも、相続時精算課税を適用した財産について既に納めた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができるケースもございます。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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