①年末調整って必要?(概要編)

年末調整は所得税法で課せられた、給与支払者の義務です。 故意に年末調整をしない場合、脱税とみなされることもありますので、必ず手続きを行いましょう。 では、具体的に年末調整はどのような手続きが必要なのでしょうか。 全3回に分けて、年末調整について解説をしていきます。

本記事は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所の監修で配信いたします。

所要時間: 5分

  1. 年末調整とは

    まず、年末調整とはどのようなものか解説します。

  2. 年末調整の対象者となる人、ならない人の違いは?

    年末調整の対象となる場合について解説します。

  3. 年末調整ではどんな控除ができるの?

    年末調整で受けることのできる控除は複数あります。 具体的にはどのような控除があるのか解説します。

年末調整とは?

個人事業者や会社などの給与支払者は、従業員への毎月の給与支払い時に、源泉徴収税額表に基づいて、所得税の源泉徴収を行う必要があります。

【参考リンク:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2022/data/01-07.pdf(国税庁HPより参照)】

この源泉徴収をした税額の1年間の合計額は、その授業員が1年間の給与について納めなければならない年税額とは一般的に一致しません。

その理由としては、次のようなことがあげられます。

①源泉徴収税額表は、毎月の給与の変動がない前提で作成されているが、実際には変動があること。

②年の途中で結婚した場合、控除対象扶養親族等に異動があるが、遡って源泉徴収税額を修正することがないこと。

③配偶者特別控除、生命保険料控除、地震保険料控除などの控除があること。

この不一致を精算するために、1年間の給与総額が確定する年末に、その年の税額を正しく計算し、それまで徴収した税額との差額を徴収または還付します。 この精算の手続きを「年末調整」といいます。

※ここでいう”給与総額”は給与計算の対象期間や締め日ではなく、「支給日」で判断しますので注意しましょう。

ちなみに、所得税額の精算のために「確定申告」の手続きをする方もいますが、年末調整と確定申告はどちらも、所得税を正しく計算し支払うために行う手続きです。

年末調整は会社側が従業員に代わり手続きをしてくれるのに対し、確定申告は私たち個人が行う、という違いがあります。 確定申告は細かな手続きも多いため、被雇用者は年末調整で所得税の精算を行うことをおすすめします。

年末調整の対象者となる人、ならない人の違いは?

年末調整の対象となる人、ならない人には、どのような違いがあるのでしょうか。

年末調整の対象となる人

勤め先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人は、原則として年末調整の対象となります。

※年末調整で所得税の精算の手続きをするためには、「給与所得者の扶養控除等申告書」のほか、「基礎控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 兼 配偶者控除等申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」を勤務先に提出しましょう。

また、住宅ローン控除がある場合は「住宅借入金等特別控除申告書」も追加で提出する必要があります。 以下の条件に当てはまる場合は、年末調整を行いましょう。

①1年を通じて勤務している人

②年の途中で就職し、年末まで勤務している人

③念の途中で退職した人のうち、次の人(退職後に他の給与の支払いを受けない人)

死亡により退職した人(※死亡が発覚した時点で年末調整を行う必要があります。)
著しい心身障害で退職し、退職時期から本年中に再就職ができないと見込まれる人
12月中に支給期の到来する給与の支払いを受けた後に退職した人
パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与総額が103万円以下である人 ・年の途中で、海外の支店へ転勤したことなどにより、非居住者になった場合(※海外に出国する日までに年末調整を行う必要があります。)  
年の途中で、海外の支店へ転勤したことなどにより、非居住者になった場合(※海外に出国する日までに年末調整を行う必要があります。)

【参考リンク:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2517.htm(国税庁HPより参照)】

年末調整の対象とならない人

勤め先に「給与所得者の扶養控除等(異動)届出書」を提出していない人は、年末調整の対象となりません。 また、届出書を提出している場合でも、対象とはならない人もいますので、以下の条件をチェックしましょう。

①前記した”年末調整の対象となる人”のうち、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人

②前記した”年末調整の対象となる人”のうち、災害により被害を受けて、本年分の給与に対する源泉所得税の徴収猶予または還付を受けた人

③2か所以上から給与の支払いを受けている人で、他の給与支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)届出書」を提出している人 ※メインとなる勤務先で年末調整を行うことになるため、年末調整が行われていない収入や、年末調整で控除できない所得控除や税額控除がある場合には、従業員自身で確定申告をするように給与支払者が説明してあげましょう。

④念の途中で退職した人で、前記した”年末調整の対象となる人”の③に該当しない人

⑤日本に住所または1年以上の居住のない非居住者

⑥継続して同一の雇用主に雇用されない、日雇い労働者など

年末調整ではどんな控除ができるの?

所得税の額を算出する際、所得から一定の金額を差し引くことを”所得控除”と言いますが、具体的にはどんな控除が使えるのでしょうか。

年末調整で控除できるもの

年末調整の際に、控除できるものは以下のとおりです。

社会保険料控除
生命保険金控除
地震保険料控除
小規模企業共済等掛金控除
配偶者控除
配偶者特別控除
障碍者控除
ひとり親控除
寡婦控除
勤労学生控除
扶養控除
所得金額調整控除
基礎控除

年末調整で控除できないもの

年末調整の際に、控除できないものは以下のとおりです。(これらは確定申告書で控除することになります。)

医療費控除
寄付金控除
雑損控除
一年目の住宅借入金等特別控除

※二年目以降は、年末調整で控除することが出来ます。

最後に

次回、各種所得控除の詳細を解説していきます。 ”納付のし過ぎ”を防ぐためにも、自分が受けることのできる控除項目をしっかりと確認しましょう。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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