儲ける経営者が実践する財務戦略:会社を強くするための具体策

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会社を成長させ、安定的に利益を上げるためには、「財務」の知識と理解が欠かせません。特に中小企業やベンチャー企業の経営者にとっては、財務戦略が会社の運命を左右する重要なポイントとなります。

しかし、財務に苦手意識を持つ経営者も少なくありません。

本記事では、財務の基本知識から実践的なアプローチまで、経営者が押さえておくべき重要なポイントを詳しく解説します。

財務の理解を深めることで、会社の信頼性を高め、利益を最大化する方法を学びましょう。

Youtube動画でも詳しく解説していますので、ご覧ください。

1. なぜ経営者に財務の知識が必要なのか?

世界のプロ経営者が実践する「財務の勉強」

日本では、「財務は専門家に任せるべき」と考える経営者も多いですが、世界のプロ経営者たちは違います。

たとえば、アメリカのMBAプログラムでは、最初に「アカウンティング(会計)」を学びます。経営判断の根拠となる「決算書」を正しく理解する力は、経営者にとって欠かせないスキルだからです。

特に、海外で成功を収める経営者の多くは、財務指標を深く理解し、それを経営戦略に落とし込む能力を持っています。日本企業の経営者も、こうしたスキルを磨くことが求められています。

財務の知識がもたらす3つのメリット

資金調達の成功率向上

投資家や金融機関と交渉する際、財務知識があることで説得力が増し、資金調達がスムーズに進みます。

会社の現状把握

決算書を正しく理解することで、経営の課題を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。

利益の最大化

無駄な支出や損失を防ぎ、稼ぐ力を高めることで、会社の利益を最大化できます。

2. 会計の3つの柱を理解する

経営者が財務を理解するためには、まず会計の3つの種類を把握することが重要です。それぞれの目的と役割を理解することで、会社の財務状況を多角的に分析できます。

① 税務会計

税務会計は、税務署に提出するための会計で、主に税金計算を目的としています。

  • 目的:税金の計算と申告
  • 対象:税務署
  • 特徴:最低限の会計情報をまとめるレベル

税務会計は、税務署に「売上」「利益」「納税額」を報告するための会計です。この範囲だけでは、経営判断に必要な情報を得ることはできません。

② 財務会計

財務会計は、会社の財務状況を外部ステークホルダーに示すための会計です。

  • 目的:外部ステークホルダーへのプレゼンテーション
  • 対象:投資家、金融機関、株主など
  • 特徴:会社の業績をわかりやすく伝えるための資料作成

財務会計では、決算書をもとに「会社がどれだけ稼げる力を持っているのか」を示すことが重視されます。

③ 管理会計

管理会計は、経営者自身が会社の内部状況を把握し、経営判断を行うための会計です。

  • 目的:経営判断の補助
  • 対象:経営者
  • 特徴:利益率の分析やコスト管理に役立つ

管理会計では、製品ごとの利益率やコスト削減の余地など、内部管理のための詳細なデータが活用されます。

3. 決算書を正しく理解する方法

決算書を理解することは、会社の健康状態を把握する第一歩です。決算書は大きく分けて2つの構成要素があります。

① 貸借対照表(バランスシート)

貸借対照表は、会社の「資産」「負債」「純資産」の状況を表すものです。

  • 資産:現金、売掛金、在庫、建物など。
  • 負債:借入金、未払金など。
  • 純資産:株主資本、過去の利益の蓄積。

貸借対照表は、会社が「何を持ち」「どれだけ借りているのか」を示します。資産と負債のバランスを理解することで、会社の財務体質がわかります。

② 損益計算書(P/L)

損益計算書は、会社の「収益」「費用」「利益」を示します。

  • 収益:売上など。
  • 費用:売上原価、人件費、家賃など。
  • 利益:営業利益、経常利益などの段階損益を記載。

損益計算書は、会社が「どの程度利益を上げているのか」を把握するための重要な資料です。

流動資産と固定資産の理解

財務を理解するうえで、「流動」と「固定」の概念を理解することは重要です。

  • 流動資産:1年以内に現金化できる資産(例:現金、売掛金)。
  • 固定資産:1年以上使用する資産(例:建物、設備)。

負債も同様に、1年以内に返済する「流動負債」と、それ以上の「固定負債」に分けて考えます。

決算書の読み方については、Youtube動画で解説しています。是非チェックしてみてください。

4. 損益計算書における「段階損益」の理解

損益計算書では、以下の5つの利益が段階的に記載されています。この「段階損益」を理解することで、会社の稼ぐ力をより深く把握できます。

  1. 売上総利益(粗利):売上から売上原価を差し引いた利益
  2. 営業利益:売上総利益から販売費や人件費を差し引いた利益
  3. 経常利益:営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益
  4. 税引前当期純利益:経常利益に特別損益を加減した利益
  5. 当期純利益:税引前当期純利益から法人税等を差し引いた最終利益

特に「営業利益」は、金融機関や投資家が注目する重要な指標です。

5. 財務的に優れた決算書を作るポイント

金融機関向けの見せ方を意識する

決算日時点での預金残高を多く見せる工夫をする。
役員貸付金を減らし、財務の健全性を高める。

コスト構造の最適化

固定費(広告費、人件費、家賃)を見直し、無駄な支出を削減。

過去との比較を活用

季節変動がある場合、前年同月のデータと比較してトレンドを分析。

6. 資金繰りの重要性と運転資金の計算方法

運転資金の目安

  • 計算式:月間の固定費 × 3~6ヶ月分
  • 例:月間400万円の固定費がかかる場合、1,200万円~2,400万円の運転資金を確保。

事前の資金計画で融資を円滑に

資金が逼迫する前に、金融機関と良好な関係を築くことが大切です。事業計画をベースに、融資の根拠をしっかり説明しましょう。

運転資金の融資について興味がある方は、こちらのYoutube動画をご覧ください。

7. まとめ:財務の理解が会社の未来を変える

財務を理解し、戦略的に活用することは、経営者にとって避けて通れない道です。以下のポイントを意識して、実践を始めてみてください。

  • 財務会計と管理会計を区別し、目的別に活用する。
  • 損益計算書を通じて「稼ぐ力」を分析する。
  • 金融機関が安心できる決算書を作成する。

これらを実践することで、会社の成長を加速させ、より強い経営基盤を築くことができます。

当事務所では、財務分析や資金調達のアドバイスを行っています。お気軽にご相談ください。

会社の未来を変えるお手伝いをいたします!

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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