雑所得とは?税理士がわかりやすく解説
副業や仮想通貨取引、助成金の受給などで得た収入が「雑所得」に該当するケースがあります。しかし、雑所得の定義や計算方法について正しく理解している方は少ないのではないでしょうか?
本記事では、税理士が雑所得の基本から計算方法までをわかりやすく解説します。確定申告を正しく行うために、ぜひ最後までお読みください。
1. 雑所得とは何か
定義
雑所得は、所得税法上の10種類の所得区分(給与所得、事業所得、利子所得など)に該当しない所得を指します。具体的には、以下のような所得が雑所得に分類されます。
- 公的年金
- 副業収入(原稿料、シェアリングエコノミーの収入など)
- 仮想通貨取引による利益
- 助成金や補助金の一部
これらの収入を得ている方は、雑所得として確定申告が必要になる場合があります。
総合課税の雑所得とは
雑所得の多くは総合課税に該当します。総合課税とは、給与所得や事業所得など他の所得と合算し、所得全体に対して税率を適用する課税方式です。所得税は累進課税のため、所得が高いほど税率も高くなります。
分離課税の雑所得とは
雑所得の中には、例外的に分離課税となるものもあります。その代表例が先物取引に係る雑所得です(例:FXやオプション取引)。
分離課税では、他の所得と分けて税率を計算し、所得税15%、地方税5%の一律税率が適用されます。
2. 総合課税となる雑所得の種類
総合課税となる雑所得は、以下の3つに分類されます。それぞれ計算方法が異なるため、注意が必要です。
1. 公的年金等の雑所得
公的年金等の雑所得は、以下の年金が該当します。
- 国民年金、厚生年金、公務員共済年金
- 企業年金(過去の勤務に基づくもの)
- 外国の同様の制度による年金
計算方法
公的年金等の雑所得は、次の計算式で求めます。
公的年金等の雑所得 = 収入金額 – 公的年金等控除額
控除額は受給者の年齢や年金収入に応じて異なります。
2. 業務に係る雑所得
副業やフリーランスとしての活動で得た所得は、業務に係る雑所得となります。この場合、収入から必要経費を差し引いた金額が課税対象です。
計算方法
業務に係る雑所得 = 総収入金額 – 必要経費
副業収入が多い方は、以下の条件で追加の書類提出が求められることがあります。
- 収入300万円超の場合:「現金預金取引等関係書類」の保存が必要
- 収入1,000万円超の場合:「収支内訳書」の添付が必要
3. その他の雑所得
上記2つに該当しない所得は、「その他の雑所得」に分類されます。主な例として、仮想通貨取引の利益や助成金の一部が含まれます。
計算方法
その他の雑所得 = 総収入金額 – 必要経費
3. 雑所得の税額計算方法
総合課税か分離課税かによって、雑所得の税額は異なります。それぞれの計算方法を見ていきましょう。
総合課税の場合
総合課税の場合、雑所得は給与所得や事業所得などと合算し、課税所得を計算します。課税所得に応じて、次の累進税率が適用されます。
また、2037年までは、所得税額の2.1%が復興特別所得税として上乗せされます。
分離課税の場合
分離課税の雑所得(先物取引など)は、所得税15%、地方税5%の一律20%の税率が適用されます。他の所得と合算しないため、所得が多くても税率は一定です。
4. 雑所得の注意点と確定申告のポイント
雑所得が発生する場合は、確定申告が必要です。申告漏れがないよう特に副業や仮想通貨取引を行う方は、注意しましょう。
ポイント
- 収入と経費の記録を徹底する
- 収入から必要経費を差し引いた金額が雑所得の課税対象です。領収書や契約書をしっかり保管しましょう。
- 確定申告の期限を守る
- 確定申告の期限は通常、毎年3月15日です。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するため注意してください。
- 税理士に相談する
- 雑所得は計算や申告が複雑になることがあります。正確に申告するためにも、税理士のサポートを受けることをおすすめします。
まとめ
雑所得は、副業や仮想通貨など現代の多様な収入源に対応する重要な所得区分です。総合課税と分離課税の違いを理解し、正確な計算と確定申告を行いましょう。
雑所得や確定申告について不安なことがあれば、当税理士事務所までお気軽にご相談ください。正確な申告と節税対策をサポートいたします!