税務調査で気をつけるべきこと10選

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こんにちは。田中将太郎公認会計士・税理士事務所です。

今回の記事では、税務調査での対応方法についてお話していきます。

一般的に、税務調査が入りやすい時期としては、春・夏・秋が多く、冬は確定申告があるのであまりないと言われています。

個人事業主の方は、夏の終わりから秋にかけてが多く、法人の方は、春の調査と夏・秋の調査で分かれます。

2月~5月決算は、夏・秋の調査が多く、6月~1月決算は、春の調査が多いとされています。

実際にこの季節になると、弊社のお問い合わせも個人事業主のお客様からのご相談は税務調査案件が増えているように思います。

これから税務調査を控えている人は、是非参考にしてみてください。

所要時間: 5分

  1. 税務調査の連絡が来た時に気を付けること

    税務調査の連絡が来た際に、気を付ける点を解説していきます。

  2. 税務調査中のコミュニケーションで気を付けること

    調査官とのコミュニケーションにおいて、気を付けるべき点を解説していきます。

  3. 資料の提出で気を付けること

    調査資料を提出する際に、気を付ける点を解説していきます。

税務調査の連絡が来た時に気を付けること

早速、税務調査の連絡が来た時、気を付けるべき2点について、解説していきます。

①すぐに日程を決めない

まず、税務調査が入ることになると、税務署から事前に電話連絡が入ります。

顧問税理士がいる場合は、通常は税務代理権限証書を提出しているため、税務署から顧問税理士に連絡が入ります。しかし、顧問税理士をつけていない個人事業主の方は、直接本人に電話がかかってきます。

この時、この電話ですぐに日程を決めない方が望ましいことが多いです。

証憑の準備や税務調査で気を付けてことを頭に入れた上で、税務調査に挑んだ方が、スムーズに税務調査対応ができます。

②顧問税理士を見つけよう

顧問税理士がいない方は、税務調査までの期間で、顧問税理士を見つけると良いでしょう。

顧問税理士が立ち合いをする調査とそうでない調査では、税務調査官の対応が大きく変わってくる可能性があります。そのため、顧問税理士に立ち会ってもらった方が、有利に税務調査への対応を進めらるでしょう。

顧問税理士と無事契約ができた際には、顧問税理士から税務署へ連絡してもらい、日程調整等をしてもらってください。

税務調査中のコミュニケーションで気を付けること

次に、税務調査当日での調査官とのコミュニケーションにおいて、気を付けるべき5点を解説していきます。

③余計なことを話過ぎない

聞かれたことは安易に答えず、しっかりと検討して、聞かれたことだけにシンプルに回答しましょう。

税務調査で失敗してしまう例としては、「後ろめたい気持ち」や「やましい気持ち」から、聞かれていないことまで余計に補足説明をする人がいます。

余分な発言をすることで、税務調査官に疑念を与えたり、追加の調査のきっかけを与えることになり、結果としてその発言が不利に働いてしまう可能性があります。

そのため、できるだけ質問にダイレクトかつ簡潔に返答する方がよいのではないでしょうか。

④雑談で趣味やプライベートの話には注意しよう

税務調査をしている間に、税務調査官との雑談で趣味やプライベートな内容を聞かれることもありますが、その時の回答には注意しましょう。

例えば、ゴルフが趣味だと回答した場合、接待交際費でゴルフの経費が多く入っていると、もしかすると仕事ではなく、プライベートでのゴルフ利用料が交際費として計上されているのではないか、との疑念を与えるきっかけになってしまいます。その結果、それぞれのゴルフ経費について、しつこく誰とゴルフに言ったのかを問われます。

税務調査官は、質問をすることで、社長と仲を深めるというよりも、税務調査における調査ポイントについて「探り」を入れている可能性があります。

税務調査中に嘘をついてはいけませんが、不必要な発言をする必要はありません

趣味について問われた場合は、「趣味は仕事です」くらいで回答しておいてもよいのではないでしょうか。

⑤税務調査中に嘘はついてはいけない

税務調査中に絶対に嘘はついてはいけません

しかし、急に質問されて、不安になってしまい、咄嗟に嘘をつきたくなる瞬間は誰にでもあると思います。このような時に、嘘をついてしまうと事実を隠蔽したことになり『脱税』とみなされます。

例えば、現金商売をしているビジネスの場合、税務調査官から「現金売上の計上漏れはありませんか?」と聞かれます。もしかして、現金計上漏れがあるかもしれないと思って不安に感じている状況の場合、「ない」と断定的に回答してしまった場合、後々、現金売上の計上漏れが発覚した場合には、嘘をついたことになってしまいます。

記憶が曖昧だったり、回答に確信が持てない場合には「ない」と言い切らずに「確認します」と回答した上で、まずは顧問税理士に相談しましょう。

⑥言うべきことは言ってもよい

税務調査中は、税務調査官に遠慮し過ぎず、主張すべきことはしっかりと主張しても問題ありません。

たとえば、前回の税務調査では「問題ない」という回答を得たにも関わらず、今回の税務調査官では問題視されるケースもあります。

そういった場合には、前回の税務調査では、税務調査官から問題がない旨の回答を得ていた場合は、その事実をしっかりと伝えましょう。

もし、前回の税務調査で同様の指摘をされていた場合には、今回の税務調査の対象期間では改善できていた可能性が高いです。

そのため、今回の税務調査で指摘された事項に関しては、しっかりと問題点は受け止めて、今後修正する旨を伝えましょう。

そうすることで、過度に税務上の否認を避けられる可能性もあります。

⑦顧問税理士と信頼性を築く

顧問税理士は、多くの場合、クライアントの味方です。

税務調査中に顧問税理士に対しても隠蔽を行ったり、税理士自体を敵に回すようなことは避けた方がよいでしょう。

例えば、税務調査官から質問されたことに対して「顧問税理士にすべて任せているからわからない」と答えるのは、最悪の回答です。

この回答が意味するのは、経営者が会計を把握しておらず、何も考えずに費用計上などを行っていたと税務調査官に伝えているのと同じことになってしまいます。

また、顧問税理士の中には、クライアントが自身に責任を押し付けてきたというような印象をもつ税理士もいるでしょうし、真摯に税務調査に向き合わない姿勢は、税務調査官だけでなく、顧問税理士との信頼関係を損なう原因にもなってしまいます。

顧問税理士とは真摯向き合い、信頼関係をもって税務調査に挑むようにしましょう。

資料の提出で気を付けること

調査資料の提出時に、気を付けるべき3点について、解説していきます。

⑧求められていない資料まで提出しない

税務調査中には、経営者は、税務調査官から会計や税務に関する様々な資料の提供を求められます。

例えば、請求書や領収書等をパソコンで作成されている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

大体の税務調査では、「請求書や領収書を提出してください」と言われることがあります。この時に、稀にパソコン自体を税務調査官に貸与していまう方がいますが、このようなことはやめた方がよいです。

税務調査官は、パソコンの中身をすべてを見る権利はありませんが、パソコンを貸してしまうとパソコン全体を調査し、本来は見るべきではない情報を目にする可能性があります。

その結果、不必要に不正のリスクが高いと判断される可能性もあります。

税務調査官には、どの資料がみたいかを明確に確認した上で、必要な箇所のみを表示、又は、印刷して提出するようにしましょう。

また、パソコン自体を貸与する場合は、できる限りデスクトップ画面をキレイにしたり、不必要な部分にはロックをかけるなどの対応をしておくことをお勧めします。

⑨資料を持ち帰らせない方がよい

税務調査には、数日かかることが多く、1日で終わらないことが多いです。

事前に決めた日数で税務調査が終了しなかった場合には、資料を税務署に持ち帰ってもよいかと税務調査官に聞かれることがあります。

この場合に、安易に資料の原本を持ち帰らせない方がよい場合が多いです。

税務署内で持ち帰られた資料が紛失するリスクもありますので、必ずコピーやPDFなどの電子データで渡すようにしましょう。

また、必要以上に多くの資料を持ち帰られることは、通常の税務調査で求められる以上の調査を許容してしまうことになり、実質的な調査期間が長引くことになります。

調査期間が長引くことは、会社側の調査対応にもプラスに働くことが少ないため、調査対象を税務調査官に確認した上で、必要最低限の資料をコピーやPDFで渡すとよいでしょう。

⑩税務調査期間の延長は必ずしも受けなくてもよい

税務調査に時間が足りず、もう一日追加させてくださいと言われることもあります。

しかし、税務調査が長引く理由には、会社側の理由だけでなく、税務調査官の経験や知識が乏しいかったり、調査の方法が非効率なことによる場合もあります。

このような場合には、会社側の営業を犠牲にしてまで、追加の調査期間を設ける必要はありません。

税務調査はあくまでも任意調査のため、会社や経営者の事業の邪魔しない範囲で行われることが大前提です。

そのため、元々予定していなかった日数を調整してスケジュールを空けなくてもよいです。

ただし、税務署側にも会社側にとっても追加調査を行ってもらった方が両者にとってよい場合もあります。そのような場合は、追加の日程を提示して税務調査を受けるようにしましょう。

このような判断は、経営者にとってはとても難しいと思いますので、自身のスケジュールを加味した上で、顧問税理士と相談されるとよいでしょう。

まとめ

税務調査では、様々な質問や確認事項をヒアリングされますので、どのように答えればよいか自信がない事項については、事前に顧問税理士に相談すると安心感をもって税務調査に挑めるでしょう。

弊社でも、顧問契約を締結しているクライアントに対しては、税務調査の立ち合いを行っております。
税務調査に関してニーズがある方は、お気軽に以下のフォームよりお問い合わせください。

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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