3分でわかる負債とは?【公認会計士が教える財務分析】
今回は、負債について説明します。
こんにちは、田中将太郎公認会計士・税理士事務所です。
負債をうまく管理することは事業運営上非常に重要です。世の中で黒字倒産という言葉がありますが、この負債をうまく管理できていないことでキャッシュフローをうまく把握、管理できず、損益計算書上は利益が出ているのに倒産してしまうこともあります。
そこでまずは負債の基礎について理解を深めるようにしてください。
所要時間: 3分
3分で負債を理解できるように次の3ステップで負債について解説していきます。
- 負債とは何か?
まずは負債とは何かを簡単に説明します。
- 流動負債と固定負債の違い
財務諸表上の区分である流動負債と固定負債の違いを説明します。
- 有利子負債と無利子負債の違い
経営管理上重要な有利子負債と無利子負債の違いについて解説します。
負債とは何か?
負債とは、借入金や買掛金などの返済しなければいけない会社のマイナスの財産です。
たとえば、銀行などの金融機関から融資を受けた場合は、借入金として負債になります。また、取引先から商品や材料の仕入を行った場合に、掛けで仕入れを行った場合は、買掛金として負債に計上します。
負債は将来的に返済が必要なものですので、将来的に資産が減少する原因となるものです。そのような将来的な資産の減少要因を負債として計上しておくことで、会社の財務状態が明らかになります。
貸借対照表上での表記
財務諸表は主に損益計算書と貸借対照表で構成されます。
負債は、貸借対照表に計上されます。貸借対照表は、左側と右側にそれぞれ項目が記載されますが、負債は右側に記載されます。
貸借対照表の右側は、、流動負債、固定負債、純資産に分かれていますが、流動負債と固定負債の2つが負債と呼ばれる部分です。
法律上の債務と期間損益計算上の債務
負債は、法律上の債務と期間損益計算上の債務の2つに分けることができます。
法律上の債務とは、相手先に対して返済義務が生じているものを意味します。借入金や買掛金がこれにあたります。
一方で、期間損益計算上は法律上の債務としてでなく、将来の支出に備えて会計上は負債として計上しておくものを意味します。たとえば、退職給付引当金などの条件付債務、法人税等引当金などの金額や返済義務が確定しているとは言えない債務がこれに該当します。
退職給付引当金の場合には、従業員に対して数年後~数十年後に退職金として支払う額を引当金として計上した物です。退職金自体は従業員の退職時に支払われますが、退職金は毎年の従業員の労働の対価として金額が積みあがっていきます。そのため、企業側の会計という観点では、毎年少しずつ引当金を積んでおいて、将来支払われなければいけない期間損益計算上の債務として計上しておくことになります。
流動負債と固定負債の違い
負債は、いつか支払いする必要があるものです。そこでその支払期日までの長さによって「流動負債」と「固定負債」に分類します。
短期間で支払期日が到来する負債は「流動負債」として、支払期日が先の負債は「固定負債」として計上します。
この支払期日の長短の基準としてワン・イヤー・ルールというものが適用され、1年を基準として1年以内を短期、1年超を長期としています。
流動負債とは
流動負債とは、支払期日が1年以内の負債を指します。具体的には、「支払手形」、「買掛金」、「短期借入金」、「未払金」、「前受金」、「預り金」、「仮受金」などが流動負債として計上されます。
固定負債とは
固定負債とは、支払期日が1年を超える負債を指します。具体的には、「長期借入金」、「社債」、「退職給付引当金」などが固定負債として計上されます。
有利子負債と無利子負債の違い
負債分類の考え方には、「流動負債」と「固定負債」の分類のほかに、金利を払う必要性に応じて「有利子負債」か「無利子負債」jかという分類があります。
これらは貸借対照表に直接記載されるものではありませんが、金利の支払の有無は経営管理上は、非常に重要です。
有利子負債とは
有利子負債とは、利息を支払う義務がある負債を指します。具体的には、短期借入金、長期借入金、社債などが有利子負債となります。
負債の利子は、税務上の論点もあるので、分けて把握することは税務管理の面でも重要です。
無利子負債とは
無利子負債とは、利息の支払い義務がない負債を指します。支払手形、買掛金、未払金、預り金、前受金などが無利子負債となります。
まとめ
負債について理解が深まりましたでしょうか?
負債を管理することは、財務諸表を作成する上で重要なだけでなく、経営管理におけるキャッシュフローにおいて非常に重要となってきます。
まずは負債の基本について理解して頂ければ幸いです。