3分でわかる純資産とは?【公認会計士が教える財務分析】
「純資産」とは、貸借対照表に表示される項目のことで、株主からの出資等と、過去からの利益の蓄積が表示されています。純資産に表示されている金額は、負債とは異なり誰かに返済する必要のない資金になります。その点で、「自己資本」とも呼ばれています。
純資産の金額を検証する際には、その総額、他の項目との比率、および純資産内の内訳である資本金、資本剰余金、利益剰余金のぞれぞれの金額を分析することがとても重要です。
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純資産について3ステップで説明していきます。
- 純資産とは何か
まずは純資産とは何かを説明します。
- 貸借対照表の中での位置づけ
次に純資産が貸借対照表の中でどの部分に該当するかを説明します。
- 純資産の内訳
最後に純資産がどのような項目によって構成されるかと解説します。
純資産とは何か
純資産とは、出資者から出資してもらった軍資金とその会社の事業によって稼いだ累積利益によって構成されます。
参考:国税庁ホームページ「第1節 株式及び出資」
貸借対照表の中での位置づけ
純資産は、貸借対照表上では、右下に記載されている項目のことです。
貸借対照表上では、左側に資産があり、右側に負債と純資産が記載されています。
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貸借対照表の左側は会社が持っている資産を示しています。そして、右側は左側に計上している資産を手に入れるために、どのような資金を使ったかを示しています。そのため、左側の資産の金額と右側の負債+純資産の金額は必ず一致します。
つまり、資産が100万円、負債が30万円、純資産が70万円の場合は、100万円の資産を手に入れるために、借入金などの負債を30万円活用し、残りの70万円は会社が自前で調達したお金(純資産)を使っているというように判断できます。
純資産の金額の割合を分析する指標として、「負債比率」などがあります。このような分析指標も貸借対照表の状況を分析し、会社経営のための意思決定を行う上でとても重要になってきます。
関連記事:「3分でわかる負債比率とは?【公認会計士・税理士が徹底解説】」
純資産の内訳
純資産の部は、大きく「株主資本」と「株主資本以外」の2つに区分されています。
さらに「株主資本」は「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」と「自己株式」に区分されます。
「株主資本以外は、「評価・換算差額等」、「新株予約権」などが計上されます。これらの勘定科目は、上場企業などでは、よく見かけますが、それ以外の中小企業では使われることは多くないので、詳細な説明は割愛します。
資本金とは
資本金とは、出資者が会社に払い込んだ金額、つまり、払込資本です。株式会社では、出資者は株主になるので、株主が払い込んだ金額の合計になります。
資本剰余金とは
資本剰余金は、さらに「資本準備金」と「その他資本剰余金」に区分されます。性質は資本金と同じで出資者から払い込まれた金額ですが、資本金に分類されなかった金額が資本剰余金に区分されます。
利益剰余金とは
利益剰余金は会社が設立されて以降、会社の中に蓄積された累積利益の金額です。会社が稼いだ当期純利益から税金や株主への配当を差し引いた金額が利益剰余金として計上されています。
自己株式とは
自己株式とは、その名の通り、会社自身が持っているその会社の株式を指します。会社が株主か自社株式を買い取った場合は、この自己株式の金額が増えることになります。
まとめ
純資産についての理解が深まりましたでしょうか。純資産は、会社の価値を図るための重要な項目です。
会社経営を行う上で、この純資産を大きくすることを考えていくことはとても重要になるので、純資産をしっかりと把握しておくことをオススメします。