3分でわかる資本金とは【公認会計士が徹底解説】
資本金は会社設立時に設定する元手資金のことです。
会社設立やその後に経営を行っていく上で、資本金はどれくらいに設定すれば良いのだろう?と迷われる方が多いです。
そこで、今回はこの資本金について解説していきます。
本記事は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所の監修です。
所要時間: 3分
次の3ステップで解説していきます。
- 資本金って何?
まずは基本金とは何かを説明します。
- 資本金の最低金額は?
次に、資本金は最低どれくらい必要かを解説します。
- 資本金の決め方は?
最後に資本金をいくらに決めたらよいかを解説します。
資本金って何?
資本金とは、出資者が会社に払い込んだ金額、つまり、払込資本です。
日本の会社では、貸借対照表の純資産の部に記載される金額の1つです。
株式会社では、株主資本であり、合同会社では、社員の出資金を意味します。
資本金は会社の規模を表す
資本金とは、会社を設立し、事業を始める際に、出資者である自分が最初に投資する自己資本を指します。そのため、資本金が多いほど、事業開始当初の運転資金が潤沢になり、会社の資金繰りも楽になります。
また、金融機関からお金を借りる際も、資本金が潤沢であれば、資金が潤沢な会社とみなされるので、借入金もしやすくなります。
資本金の目安は、業種次第
また、ネットビジネスのようにPC1台されあれば起業して経費をほぼかけずに低コストで運営でいる業種もあれば、製造業などのように最初から大規模な設備投資が必要な業種もあります。
自社がのビジネスモデルがどのように従って必要な資金を計算した上で資本金の額は設定するようにしましょう。
資本金の最低金額は?
資本金は、新会社法の施行により、会社を設立するときの最低資本金制度が撤廃になりましたので、資本金はいくらでもかまいません。極端な話、資本金が1円でも株式会社を設立することができます。合同会社も同じく1円から設立できます。
一般的な最低額は会社設立費用
会社は1円でも設立できますが、通常は会社設立費用が資本金の最低額になります。会社設立にかかる登録免許税や専門家報酬は、資本金の金額が支出することができます。そのため、会社設立費用が実質的な資本金の最低額となるでしょう。
過去は1000万円の資本金が必要だった
かつては、株式会社を設立する場合には1,000万円が必要でした。そのため、多くの人にとって会社設立はハードルが非常に高いものでした。しかし、現在は、株式会社も1円でも設立できるので、最低額の引き下げにより、会社設立は一般的なことになりました。
資本金の決め方は?
資本金の額を決定する際に考えるべきことは、5つです。
①会社運営の原資
②社会的な信頼性
③資金調達
④節税
⑤許認可
①会社運営の原資
資本金は、会社運営のための元手ですので、会社を設立して運営をしていくために必要な金額を資本金として設定すべきです。
会社で事業を始めてもすぐには売上や利益が得られない場合があるため、資本金を元手に事業の基礎を作っていくことになります。
それでは、事業運営上はいくらの金額を設定すればよいのでしょうか?
事業の種類にもよりますが、月間の運転資金の3~6か月分を少なくとも設定しておくと良いでしょう。つまり、売上がたたなかったとしても、3~6か月は会社を存続させることができる金額を資本金として準備すべきです。
関連記事:「会社設立時の資本金の設定【5分で完全攻略】」
②社会的な信頼性
資本金は、設立時の会社の規模とイコールです。そのため、資本金が大きい会社の方が財務基盤がしっかりとしていて、社会的な信頼性と認識されやすいです。
やはり資本金が数百億円~数千億円もあるような大企業は、世の中一般から信頼を得られやすいですよね。同じように新しい会社であっても資本金が1円の会社よりも500万円の会社の方が、財政基盤がしっかりしており、倒産しにくい会社として認知されやすいです。
③資金調達
資本金は、資金調達の際にも重要となります。
たとえば、銀行から融資を受ける際も資本金が重要になります。金融機関から資金を調達した場合は、返済が必要な「借入金」となります。
金融機関が融資する際に、借入金の金額と資本金の金額を比べた「負債比率」が1つの融資の指標となる場合があります。
関連記事:「3分でわかる負債比率とは?【公認会計士・税理士が徹底解説】」
すなわち、借入金などの負債が資本金の何倍あるかが金融機関で検討されます。もう皆さんはお分かりと思いますが、資本金の金額が大きければ、相対的に負債の比率が低くなるので、金融機関もお金を貸しやすいと判断してくれます。
たとえば、資本金が100万円で、借入金が1000万円の会社の場合は、借入金が資本金の10倍もあるので、金融機関としても融資しにくいです。
一方で、資本金が1億円で、借入金が1000万円の場合は、借入金は資本金の10分の1しかないので、金融機関としてもまだまだ貸せると思う可能性が高いです。
しかし、資本金は開業時に会社が持っている自己資本であり返済義務はありません。返済義務のある「借入金」を資本金として計算することはNGであるため注意しましょう。
④節税
資本金の額に応じて受けられる税制優遇が異なりますので、資本金を設定する際は、税金の観点からもしっかりと検討した方が良いです。
資本金に絡む税制は細かいので、ここではすべては説明しませんが、ざっくり説明すると、資本金が小さい方が税金の優遇が受けられます。
たとえば、新規設立企業の多くが、資本金を1000万円未満に設定していますが、これは消費税と法人住民税を節約できるからです。
また、1,000万円未満である時点で、資本金1億円以下の中小企業の税制優遇も受けることができます。
⑤許認可の有無
許認可を受けるときに資本金の金額が条件になる場合があります。例えば、労働者派遣業の許可を会社設立時に取得しようと考えた場合は、資本金が2,000万円以上必要になりますし、職業紹介事業なら500万円以上が必要です。
資本金を設定して会社設立を行う前に、自分が行おうとする事業が許認可が必要かどうか、また、資本金要件があるかどうかは必ず確認してください。会社を設立した後に、資本金の金額を変更する場合は、登録免許税などのコストが無駄にかかってしまいますので、しっかりの会社設立前に検討することをオススメします。
まとめ
資本金について理解が進みましたでしょうか。
資本金は、会社の規模を示す重要な指標ですので、会社設立時には慎重に検討しましょう。
資本金の設定の際に意識することは、
- 会社運営の原資
- 社会的な信頼性
- 資金調達
- 節税
- 許認可
の5つのですので頭に入れておいてください。