数字で見る会社設立【会社設立数編】株式会社と合同会社を公認会計士・税理士が徹底比較
こんにちは。田中将太郎公認会計士・税理士事務所です。
会社設立について会社設立数をベースに解説いきたいと思います。会社設立を検討されている方で、株式会社にするか、合同会社にするか悩んでいる方は多いかと思います。
そこで、会社設立数の観点から株式会社と合同会社を比較していきます。
所要時間: 5分
次の3ステップで会社設立を数字をベースに見ていきます。
- 会社数の推移
まずは、世の中にある会社総数を見ていきます。
- 会社設立数の推移
次に、新しく会社設立される会社数を見ていきます。
- 会社設立の地域別比較
最後に、地域別に細分化した時の会社設立数を見ていきます。
会社数の推移
まずは、日本全国の会社の数を知りましょう。2019年時点での会社数の合計は、約270万社です。
会社総数の推移
会社総数は、毎年数万社程度の純増となっており、緩やかな増加傾向です。
グラフ:会社数の推移(単位:百万社)
2011年度から2012年度にかけて会社数が減少しています。これは2010年のリーマンショックの影響ではないでしょうか。しかし、その後は緩やかに増加しており、2012年度から2018年度まで順調に増加し、5年間で10万社以上増加しています。
利益計上法人と欠損法人
ちなみに、日本全国の会社のうち、利益計上法人(黒字)と欠損法人(赤字)の会社がそれぞれどれくらいあるか見ていきます。
グラフ:欠損法人割合(単位:%)
表:会社数の推移(単位:社)
利益計上法人 | 欠損法人 | 合計 | |
2011年度 | 711,478 | 1,859,012 | 2,570,490 |
2012年度 | 749,731 | 1,776,253 | 2,525,984 |
2013年度 | 823,136 | 1,762,596 | 2,585,732 |
2014年度 | 876,402 | 1,729,372 | 2,605,774 |
2015年度 | 939,577 | 1,690,859 | 2,630,436 |
2016年度 | 970,698 | 1,689,427 | 2,660,125 |
2017年度 | 1,006,857 | 1,687,099 | 2,693,956 |
2018年度 | 1,032,670 | 1,692,623 | 2,725,293 |
グラフの通り、2018年度では、欠損法人の割合は、62%と半分以上となっています。しかし、2011年度は72%が欠損法人であったことを考えると、毎年徐々に改善してきているといえます。
ちなみに1社あたりの売上高は、約5億円です。利益計上法人の場合は、平均売上が10億円を超えますがですが、欠損法人の場合は、2億円弱です。
<1社あたりの売上高(単位:百万円)>
利益計上法人 | 欠損法人 | 合計 | |
2011年度 | 1,078 | 274 | 496 |
2012年度 | 1,358 | 207 | 549 |
2013年度 | 1,383 | 202 | 578 |
2014年度 | 1,337 | 212 | 590 |
2015年度 | 1,191 | 196 | 551 |
2016年度 | 1,179 | 181 | 545 |
2017年度 | 1,228 | 168 | 564 |
2018年度 | 1,229 | 165 | 568 |
会社設立数の推移
2019年は約12万社が新しく会社設立されました。そのうち、株式会社が8.8万社、合同会社が3万社です。全体の3分の2が株式会社で、3分の1が合同会社となっています。
会社形態 | 会社設立数(単位:社) |
---|---|
株式会社 | 87,871 |
合名会社 | 48 |
合資会社 | 47 |
合同会社 | 30,566 |
総数 | 118,532 |
株式会社と合同会社の合計数は、直近10年間では順調に増えており、2010年の8.7万社から2019年の11.8万社まで右肩上りで増えています。
株式会社と合同会社の会社設立数
会社設立数の株式会社と合同会社の内訳をみると、株式会社は直近では減っているのに対し、合同会社は順調に増えています。
合同会社の認知度の上昇に伴い、合同会社の設立ニーズも急速に拡大しています。
会社設立の地域別比較
それでは、地域ごとの会社設立の多さや好まれる会社形態について詳細に解説していきます。
8つの管轄法務局ごとの会社設立数
法務局の管轄は大きく分けて、札幌(北海道)、仙台(東北)、東京(関東)、名古屋(中部)、大阪(関西)、広島(中国)、高松(四国)、福岡(九州)の8つです。そこで、この8つごとに会社設立数を見ていきます。
まず、最も会社設立数が多いのが東京(関東)です。6万社です。続いて、大阪(関西)が約2万社、福岡(九州)が約1万社となっています。
札幌(北海道)は、4,000社と他の地域と比べると会社設立が少ないです。
場所 | 株式会社 | 合同会社 | 合計 | 合同会社割合 |
札幌法務局管内 | 2,850 | 1,317 | 4,167 | 46% |
仙台法務局管内 | 2,978 | 906 | 3,884 | 30% |
東京法務局管内 | 45,587 | 17,558 | 63,145 | 39% |
名古屋法務局管内 | 7,418 | 2,107 | 9,525 | 28% |
大阪法務局管内 | 15,644 | 4,099 | 19,743 | 26% |
広島法務局管内 | 3,319 | 973 | 4,292 | 29% |
高松法務局管内 | 1,589 | 538 | 2,127 | 34% |
福岡法務局管内 | 8,486 | 3,068 | 11,554 | 36% |
北海道は合同会社の割合が多い
興味深いのが合同会社の割合をみると、札幌(北海道)がダントツで多く46%となっています。合同会社割合の全国平均が35%であるため、平均よりも10%も多くなっています。
北海道の中でもより詳細に見てみると、札幌、函館、旭川、釧路に分けられますが、札幌は合同会社の割合が49%となっており、約半数です。札幌の合同会社人気はすごいですね。
ちなみに詳細地域ごとに見ると札幌よりも合同会社が人気の地域があります。
それは、那覇で合同会社の割合が55%に達します。
場所 | 株式会社 | 合同会社 | 合計 | 合同会社割合 |
札幌 | 2,105 | 1,023 | 3,128 | 49% |
函館 | 159 | 54 | 213 | 34% |
旭川 | 235 | 111 | 346 | 47% |
釧路 | 351 | 129 | 480 | 37% |
仙台 | 1,086 | 291 | 1,377 | 27% |
青森 | 310 | 115 | 425 | 37% |
盛岡 | 337 | 128 | 465 | 38% |
秋田 | 243 | 88 | 331 | 36% |
山形 | 318 | 104 | 422 | 33% |
福島 | 684 | 180 | 864 | 26% |
東京 | 26,595 | 10,158 | 36,753 | 38% |
水戸 | 1,170 | 423 | 1,593 | 36% |
宇都宮 | 771 | 220 | 991 | 29% |
前橋 | 842 | 288 | 1,130 | 34% |
さいたま | 4,143 | 1,481 | 5,624 | 36% |
千葉 | 3,308 | 1,525 | 4,833 | 46% |
横浜 | 5,446 | 2,366 | 7,812 | 43% |
新潟 | 644 | 226 | 870 | 35% |
甲府 | 347 | 139 | 486 | 40% |
長野 | 721 | 294 | 1,015 | 41% |
静岡 | 1,600 | 438 | 2,038 | 27% |
名古屋 | 4,577 | 1,245 | 5,822 | 27% |
富山 | 340 | 128 | 468 | 38% |
金沢 | 520 | 177 | 697 | 34% |
福井 | 362 | 71 | 433 | 20% |
岐阜 | 883 | 265 | 1,148 | 30% |
津 | 736 | 221 | 957 | 30% |
大阪 | 9,209 | 2,247 | 11,456 | 24% |
大津 | 639 | 185 | 824 | 29% |
京都 | 1,931 | 480 | 2,411 | 25% |
神戸 | 2,960 | 909 | 3,869 | 31% |
奈良 | 546 | 176 | 722 | 32% |
和歌山 | 359 | 102 | 461 | 28% |
広島 | 1,447 | 377 | 1,824 | 26% |
鳥取 | 205 | 69 | 274 | 34% |
松江 | 193 | 78 | 271 | 40% |
岡山 | 1,001 | 291 | 1,292 | 29% |
山口 | 473 | 158 | 631 | 33% |
高松 | 502 | 162 | 664 | 32% |
徳島 | 252 | 118 | 370 | 47% |
松山 | 586 | 161 | 747 | 27% |
高知 | 249 | 97 | 346 | 39% |
福岡 | 3,865 | 1,063 | 4,928 | 28% |
佐賀 | 288 | 87 | 375 | 30% |
長崎 | 463 | 172 | 635 | 37% |
熊本 | 912 | 425 | 1,337 | 47% |
大分 | 563 | 205 | 768 | 36% |
宮崎 | 486 | 198 | 684 | 41% |
鹿児島 | 696 | 248 | 944 | 36% |
那覇 | 1,213 | 670 | 1,883 | 55% |
まとめ
いかがでしょうか。会社設立に関して少し知識が深まりましたでしょうか。
最近では、合同会社の人気が高まっており、会社設立全体の35%が合同会社となっています。特に札幌では、合同会社を選ぶ人が約50%となっており非常に多いです。
合同会社は株式会社と比べて設立コストも低く、会社設立手続が簡単で運営の手間もかかりません。
これから会社を設立する方は、ぜひ合同会社も選択肢の1つとして考えると良いと思います。
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田中将太郎公認会計士・税理士事務所でも会社設立をサポートしており、会社設立後の会計・税務や経営でのメリットを考慮した支援が可能です。会社設立を検討されている起業家の方は、ぜひご連絡ください。