仮想通貨の確定申告⑤「仮想通貨の所得の計算方法」【田中将太郎公認会計士・税理士事務所監修】

仮想通貨の確定申告に関する記事【第5弾】です。

前回は、仮想通貨の取引によって生じた所得が、確定申告を行う際にどのような所得になるかを解説しました。

今回は、実際に仮想通貨の所得をどのように計算すればよいかを解説していきます。

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所要時間: 3分.

3分でわかるように解説していきます。

  1. 仮想通貨の取引による所得の計算の考え方

    まずは仮想通貨の計算方法の概要を説明します。

  2. 移動平均法の場合

    仮想通貨の計算の1つである移動平均法についての解説です。

  3. 総平均法の場合

    仮想通貨の計算のもう1つである総平均法についての解説です。

仮想通貨の取引による所得の計算の考え方

仮想通貨の取引で発生した所得は、個人の場合は、1年分(1月1日~12月31日まで)の取引全体から購入と売却の金額を計算し、所得として申告する必要があります。

単純な計算

仮想通貨の取引が非常に複雑と思われがちですが、それは取引の仕方によります。

そこでまずは、とてもシンプルな取引の場合の、仮想通貨の確定申告の計算方法について説明していきます。

<例1>
1月30日に1ビットコイン(以下、BTC)300万円の時に2BTCを購入、5月20日に1BTCあたり350万円で、2BTCすべてを売った場合です。

この場合、整理すると以下のようになります。

600万円で2BTCを購入(@300万円=1BTC)
700万円で2BTCを売却(@350万円=1BTC)

この場合の所得は、100万円(=700万円-600万円)となります。

シンプルに売却金額700万円から購入金額600万円を差し引きます。

より複雑な仮想通貨の取引の計算

多くの売買がある場合は、仮想通貨の取引の計算も複雑になります。そこで、「移動平均法」と「総平均法」の2つの方法を理解し、うまく適用していく必要があります。

皆さんもこれまで「移動平均法」や「総平均法」という単語をどこかで聞いたことがあるかもしれません。この用語は、仮想通貨の取引に特有の単語ではなく、ビジネス会計上、よく在庫などの計算に利用される方法です。

今回は、それぞれの方法について、具体例を用いながら、解説していきたいと思います。

4月1日5月25日8月21日10月12日12月7日
単価300万円@350万円@400万円@480万円@660万円
購入数量1BTC1BTC1BTC
取得原価300万円350万円480万円
売却数量1BTC2BTC
売却価格400万円1320万円

移動平均法とは

移動平均法とは、仮想通貨を購入するごとに新しい仮想通貨の取得価額とこれまで購入した仮想通貨の残高を平均し、所得を計算する方法です。

移動平均法での計算方法

まず、取得価額を計算するために購入時の1BTCの平均額を算出し、取得価額と売却金額の差額(所得)を出します。

(300万円+350万円)÷ 2BTC =325万円・・・4月1日と5月25日の平均レート
1BTC✕400万円=400万円・・・8月21日に売却した1BTCの取得価額
400万円-325万円=75万円・・・所得(取得価額と売却金額の差額。利益)

次に、12月7日に売却した際の所得を考えます。
(325万円×1BTC+400万円×1BTC)÷ 2BTC=362.5万円
362.5万円✕2BTC=725万円・・・12月7日に売却したBTCの取得価額
660万円✕2BTC – 725万円=595万円・・・所得(取得価額と売却金額の差額。利益)

75万円 + 595万円 = 670万円・・・所得合計(利益合計)

このように、移動平均法では売却の度に所得を算出することができます。

移動平均法を利用する場合

よく言われるのが、移動平均法と総平均法を比べた場合に、経済的な実態により即した方法としては、移動平均法の方が優れていると言われます。

取引を行うごとに売却原価を計算しなおすため、取引の実態を最も反映しており、より正確な所得を計算できます。

しかし、移動平均法は、取引のたびに平均取得原価を計算し直すため、非常に計算が煩雑になり、手間もかかります。

総平均法とは

総平均法とは、1年間の購入平均レートをもとに計算した取得価額の合計と、売却合計金額の差額(所得)を計算する方法です。

総平均法での計算方法

(300万円 + 350万円 + 480万円)÷ 3BTC = 376万6,666円・・・購入時の平均レート
376万6,666円 × 3BTC=1,130万円・・・売却したBTCの取得価額合計
(1BTC × 400万円)+(2BTC × 660万円) =1720万円・・・売却合計金額
1,720万円 – 1,130万円 = 590万円・・・所得合計(利益合計)

総平均法を利用する場合

上記のように通年で計算した場合は同じ金額になりますが、単年度で計算した場合はどちらの計算方法を選ぶかによって所得に差が発生します。
なお、国税庁の資料には「同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です(ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えありません。)」と記載されています。

1度選択した方法は、継続して使用するルールがありますので、ご自身に合った計算方法を選びましょう。

まとめ

ここまで見てきたように、どちらの計算方法を選ぶかによってそれぞれの年度の所得に差が発生してきます。そのため、1度選択した方法は、継続して使用する必要がありますので、ご自身の計算ニーズに合った計算方法を選択し、一貫してその計算方法を続けていく必要があります。

また、国税庁の方針としては、「同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です(ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えありません。)」と定義していますので、原則は、移動平均法ということになります。

しかし、計算が煩雑になることから、実務上は総平均法が一般的に使われる方法になっています。

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参考:過去の記事
仮想通貨の確定申告①
仮想通貨の確定申告②
仮想通貨の確定申告③
仮想通貨の確定申告④

田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎(公認会計士、税理士)

田中将太郎公認会計士・税理士事務所 代表

<事務所概要>
東京および北海道札幌を拠点とする公認会計士・税理士事務所。 会社設立から税務顧問、経営戦略まで成長ステージごとに段階的に支援します。

<代表略歴>
北海道旭川市出身の公認会計士・税理士。慶応義塾大学経済学部、シカゴ大学経営大学院で経済、経営、ファイナンスを学ぶ。 公認会計士として国際監査やアドバイザリーに従事後、経営戦略コンサルタントとして大企業を中心に経営戦略やマーケティングを支援。 現在は、田中将太郎公認会計士・税理士事務所の代表(東京・北海道札幌)。


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