【個人事業主・起業家必見】マイクロ法人で節税と社会保険料を削減(2024年最新版)

こんにちは。田中将太郎公認会計士・税理士事務所です。

働き方改革などの影響により、フリーランスや副業といった働き方をする方が増えています。
最近では、インボイス制度導入により会社設立を決意された方もいるのではないでしょうか。

本記事では、そういった方向けに、マイクロ法人とは何か、メリット・デメリットを比較した上で、マイクロ法人の作り方を解説していきます。

この記事の更新日:

所要時間: 5分

  1. マイクロ法人って何?

    まずは、マイクロ法人とは何かについて解説します。

  2. メリット・デメリットを徹底比較!

    次に、マイクロ法人を設立した場合のメリットとデメリットについて考察します。

  3. 株式会社と合同会社どっちがいいの?

    マイクロ法人を作る場合の主な選択肢として株式会社と合同会社があるので、その違いを説明します。

  4. マイクロ法人の作り方

    最後にマイクロ法人をどのように設立すべきかを解説します。

マイクロ法人って何?

社員を雇用せず、社長一人だけによる会社を指すことが多いです。
マイクロ法人は、フリーランスなどの個人事業主が主に税金や社会保険料の節減を目的に設立、経営する法人のことです。

Youtube動画でもマイクロ法人について詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

【個人事業主は必見‼】物凄く節税になるマイクロ法人のメリット・デメリットを徹底解説!【公認会計士・税理士が分かりやすく解説/個人事業主/法人設立/社会保険/所得税/節税】

マイクロ法人と個人事業主の違い

マイクロ法人と個人事業主は、法人化しているかどうかが違うだけで事業内容に関しては大きな違いはありません。
税務上のメリットを得られるかどうかという点で、個人事業主をマイクロ法人とするケースがあります。

中には、マイクロ法人と個人事業主を両方持ち、法人の役員報酬を少なめにして社会保険を圧縮するなどの”二刀流”スキームを活用するケースもあります。

この”二刀流”と呼ばれるやり方を行う場合には、事業内容の棲み分けを行う必要があります。

まず、個人事業主とマイクロ法人で同一の事業を行うと、税務当局から、個人事業の収入を法人へ分散させて租税を回避していると見なされる可能性があります。
そのため、個人事業主がマイクロ法人を設立する際には、個人事業主として行う事業とマイクロ法人が行う事業が、明確に分かれていることを証明できるようにしておくべきです。

会社員がマイクロ法人を設立するのは違法?

個人事業主やサラリーマンがマイクロ法人を設立するのは違法なのでしょうか。
結論から言うと、これは違法ではありません。

ただし、勤務先が副業を禁止している場合などには、勤務先との労働契約に反する可能性があるため注意が必要です。

メリット・デメリットを徹底比較!

それでは、ここから、マイクロ法人のメリットとデメリットについて説明していきます。

マイクロ法人を設立するメリット

マイクロ法人のメリットをあげていきます。

①信用力アップ

個人事業主よりも法人の方が、事業拡大や人材採用には有利に働くことが多いでしょう。
さらに、金融機関の融資を受ける時など、ビジネスの状況や財務内容にもよりますが、個人事業よりもどちらかと言えば有利であると言われています。

②所得税や住民税などの節税効果が生まれる

事業の利益をマイクロ法人で計上することで、マイクロ法人から年間1,625,000円以下の役員報酬を受け取れます。 役員報酬を受け取ると給与での所得が550,000円下がるため、給与所得控除が受けられ所得税と住民税をその分抑えることが可能です。

個人事業を法人化することによって、所得税ではなく、法人税が掛かってきますが、個人事業主の所得税と比べると法人税の方が、一般的に節税策が非常に多いです。
また、マイクロ法人を設立して当初2年間は消費税が免除され、その後も1,000万円以下の売上しかない場合は、2年間免税事業者になれる可能性があります。
ただし、2023年10月からのインボイス制度によって、消費税免税のメリットが薄れてしまう場合もあるため、厳密には専門家の意見を聞いた方がよいです。

③社会保険料の節約

個人事業主とマイクロ法人の両方を持っていれば、個人事業主としての社会保険の加入は必要ありません。個人事業主の場合は、「国民健康保険」や「国民年金」を支払います。

一方でマイクロ法人の役員の場合は、この保険を法人の「健康保険」や「厚生年金」へ切り替え、マイクロ法人から受け取る役員報酬を自由に決めて調整することで、社会保険料を軽減することが可能です。そのため健康保険料や厚生年金保険料の支払額を国民健康保険や国民年金と比較して減額できる特徴があります。

マイクロ法人を設立するデメリット

どのようなデメリットが存在するのか、詳しく見ていきましょう。

①経理業務や事務手続きのコストが増加する

マイクロ法人を設立すると個人事業主のときよりも経理業務や事務手続きに手間がかかります。個人事業主の場合は、年に1回確定申告をすれば終わりですが、マイクロ法人を設立すると確定申告だけではなく決算申告を行わなければいけません。

貸借対照表や損益計算書、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書などの書類作成と提出が必要です。自分でこれらの複雑な書類を準備できない場合は税理士に依頼することになり、そのコストも発生します。

②会社の設立費用や維持費用が発生する

マイクロ法人を設立するときの費用やランニングコストが発生する点もデメリットです。一般的な株式会社の場合は、設立に220,000〜240,000円程度、合同会社なら75,000円程度必要です。

バーチャルオフィスや電話受付代行などを利用するなら毎月それらのコストがかかります.

税金や社会保険料の節減が目的の場合は、マイクロ法人の設立費用やランニングコストが上回らないかをあらかじめ確認する必要があります。

③経営が赤字でも法人住民税が発生する    

マイクロ法人を設立すると、赤字経営のときも法人住民税を支払わなければいけません。

個人事業主の場合は、赤字なら所得税や住民税は免除されて支払う必要がありませんが、法人化すると赤字でも均等割の法人住民税は納付しなければいけません。

株式会社と合同会社どっちがいいの?

株式会社と合同会社どっちがいいの?という点を解説していきます。
主な違いは、6つあります。

なお、以下の記事も株式会社と合同会社のどちらを選択するかの意思決定に役立ちますので参考にしてみてください。

関連記事:「合同会社とは【公認会計士・税理士が徹底解説】」 

     「数字で見る会社設立【会社設立数編】株式会社と合同会社を公認会計士・税理士が徹底比較

Youtube動画でも詳しく解説しています。

1.出資・意思決定

まず、出資・意思決定から見ていきます。
基本的に株式会社は、所有と経営(株主)と、経営する人(役員)が別々になっているというのが大前提です。
例えば、上場会社をイメージしていただくと分かりやすいです。
会社の所有権は株主にあり、株主の意思決定に関しては出資割合に応じて決められることになっています。

一方、合同会社の場合、出資者=役員となります。
出資割合に関係なく、一人一票となります。
そのため、役員が複数人いる場合は多数決のような形で決めることになります。
また、事業譲渡をする場合には、経営と出資を分けられないため、株式会社のような出資持分だけの機動的な譲渡ができないというデメリットがあります。

しかし、基本的に上場会社を除くオーナー企業である株式会社は所有と経営が同じになり、
合同会社的な使い方をすることが多いので、もし迷った場合はよりデメリットが少ない株式会社を選択されるとよいのではないでしょうか。

2.代表者の名称

株式会社の場合、お馴染みの「代表取締役」となるのが、正式名称になります。
合同会社の場合は、「代表社員」となりますため、普通の社員なのか代表社員なのかといった響きに聞こえるでしょう。

3.役員の任期

「最長10年」と「任期なし」の違いがあります。
株式会社の任期で「最長10年」は何を意味するのかというと、オーナー企業で気にすべき登記についてです。
変更登記10年で、退任してまた就任する、という点で、どれだけ短くとも10年に1回は登記費用をかけて登記しなければなりません。

一方で、合同会社では任期がないため、その点メリットではございます。
しかし、会社設立する場合は、基本的に退任させることが難しいため、その点はご注意ください。

4.株式の公開

上場を検討する際、株式の場合は可能ですが、合同会社の場合は株式がないため、基本的には不可となります。
ベンチャーを立ち上げて、上場を目指して事業を拡大したい場合は株式会社を設立することをお勧めいたします。

5.社会的信用力

どちらかというと、株式会社の方が信用力が高いといわれています。
これは、知名度の違いが関係しているように考えられます。
合同会社という会社形態が始まってから10年以上経つ今でも、浸透しきっていないのも現状です。
その点、株式会社の方が無難というケースもあるので、注意しましょう。

6.決算公告義務

株式会社は「あり」、合同会社は「なし」となります。
コストをかけて、『官報』という政府系の新聞に財務諸表を載せなければならないという規定が一応ありますが、
事実として、これを実際行っている中小企業で決算公告をされている会社は少ないようです。

マイクロ法人の作り方

最後にマイクロ法人をどのように設立すべきかを解説します。マイクロ法人でも普通の法人でも会社設立の方法は大きく異なりません。

そのため、一般的な会社設立において考慮すべき点を勘案して会社設立手続を進めましょう。

会社設立前にすべきこと

会社設立前にすべきことは、主に以下の5つです。
①必要資料の準備
②定款作成
③資本金の払い込み
④設立登記申請書、添付書類の作成
⑤設立登記申請

具体的に何をすべきかについては、以下の記事を参考にしてください。

参考資料:「税理士・公認会計士が教える「会社設立」【失敗しないためのコツを解説】

     「会社設立時の資本金の設定【5分で完全攻略】

会社設立後にすべきこと

会社設立後にすべきことも簡単に記載しておきます。

①法人設立届の提出
②銀行口座の開設・クレジットカードの作成
③社会保険手続き(役員・従業員)
④資金調達(融資、ベンチャーキャピタル等からの出資金集め)
⑤会計・税務手続き

以上のように会社設立をした後も色々とすべきことがあります。

関連記事:「経営者が知っておくべき法人の税金

ベンチャーファイナンス①スタートアップの成長フェーズ【公認会計士・税理士が解説】

ベンチャーファイナンス②【公認会計士・税理士が解説】田中国際会計事務所

ベンチャーファイナンス③:会社設立後に考えるべき投資契約書【田中将太郎公認会計士・税理士事務所監修】

まとめ

マイクロ法人に関して理解が深まりましたでしょうか。個人事業主の方が、マイクロ法人を設立する場合は、上述したように注意点や法人設立時に気を付ける点もあるので、実際にマイクロ法人を設立される場合には、専門家の意見を参考にした方がよいでしょう。

田中国際会計事務所でもマイクロ法人の設立をお手伝いしていますので、マイクロ法人の設立やその後の会計、税務顧問業務をご依頼の方は、お気軽にお問い合わせください。

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田中将太郎 - Shotaro Tanaka

記事の筆者:田中将太郎

                       

(株)田中国際会計事務所 代表取締役
田中将太郎公認会計士事務所・税理士事務所 代表
東京都、北海道札幌市、宮城県仙台市に拠点を置き、個人事業主やスタートアップ企業から大企業までを幅広く支援。会計・税務、創業支援に加え、経営戦略コンサルティングの知見を活かした”戦略税務”や売上を伸ばすための”戦略マーケティング”に強みを持つ。
経営のための”裏ワザ”情報は、LINE、note、Youtubeでも配信中。                        
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