開業1〜2年目の節税はまだ早い?15万円得して借入枠650万円を失う計算と、先にやるべき3つのこと【税理士解説】
開業1年目・2年目の個人事業主の方、そしてこれから開業届を出す方へ。この記事は、年末が近づくたびに頭をよぎる「経費を増やして税金を減らすべきか?」という意思決定のための記事です。結論から言うと、開業1〜2年目の「支出型の節税」は、戻ってくる金額より失う金額のほうが大きくなりやすいというのが、税理士としての見立てです。
たとえば所得を100万円圧縮して戻ってくる税金は、控除前の課税所得が100万円以上あり、その全額が開業初期の税率帯(合計約15%)で効く場合で約15万円。ところがその裏で、住宅ローンでは、他の条件を一定とし返済負担率が借入額の上限を決める場合、借入可能額に概算で約650万円の計算上の差が生じ得ます(計算過程は本文で示します)。この記事では、「節税がまだ早い」3つの理由を数字で確認したうえで、代わりに先にやるべき3つのこと(青色申告・消費税免税期間の活用・証憑の整理)と、「やっていい工夫・まだ早い節税」の分岐表まで解説します。
先に結論:「節税するな」ではなく「順番を守る」
| 論点 | 要点 |
|---|---|
| 理由① | 戻る税金は「使った額×あなたの税率」だけ。開業初期の税率帯(約15%)では、30万円の節税出費で戻るのは約4.5万円(控除全額がその税率帯で効く場合) |
| 理由② | 節税目的の法人成りは、利益が薄いうちは社会保険料・法人住民税均等割で「逆ザヤ」になりやすい |
| 理由③ | 利益を消すと、融資・住宅ローン・賃貸の審査で重要資料の一つとなる申告所得が下がる(税の戻り約15万円⇔返済負担率が上限となる場合の借入枠約650万円の差) |
| 代わりに | 青色申告(最大65万円控除・赤字3年繰越)/消費税の免税期間を準備期間に使う/証憑の整理 |
誤解のないように先に書いておくと、この記事は「税金を多く払え」という話ではありません。仕事に必要な投資はためらわず買ってかまいませんし、節税は課税所得が育って税率が上がれば有効な道具です。問題は順番です。以下、順に数字で確認します。
理由① 戻ってくるのは「使った額×あなたの税率」だけ
いちばん多い勘違いが、「30万円の経費を使えば税金が30万円安くなる」というものです。実際に安くなるのは、使った額にあなたの税率を掛けた分だけです。
所得税は超過累進税率で、国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」の速算表のとおり、課税所得195万円以下の部分の税率は5%です(4,000万円超の部分は45%)。これに個人住民税の所得割が加わります。総務省の個人住民税の解説ページのとおり、標準税率は道府県民税4%+市町村民税6%の合計10%です(超過課税を行う自治体もあります)。
つまり課税所得195万円以下の帯なら、合計で約15%。開業1年目のフリーランスが年末に「正直そこまで要らない」広告や外注に30万円を使った場合(その年中に広告掲載・外注の役務提供が完了し、債務と金額が確定してその年の必要経費になる支出の例で、控除前の課税所得が30万円以上あり、控除全額がこの約15%の帯で効く前提です)、戻ってくる税金は概算で次のとおりです。
- 税負担の減少: 30万円 × 約15% = 約4.5万円
- 手元から出て行く自己負担: 30万円 − 4.5万円 = 約25.5万円
国民健康保険の加入者は所得の減少で保険料も下がりますが、それを足しても7割以上は自腹です(※所得税額には別途、復興特別所得税〔所得税額×2.1%〕がかかりますが、微小のため本記事の概算では省略しています。また、住民税の課税所得は所得税と控除額が一部異なるため「約15%」は概算です)。
なお、この例を広告費・外注費としたのには条件があります。支払った年に自動的に全額が必要経費になるわけではなく、国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」のとおり、必要経費にできるのはその年12月31日までに債務が確定した金額に限られます。その年に支払っていても債務の確定していないもの——たとえば翌年掲載分の広告や翌年提供分の外注サービスの前払い——は、原則としてその年の必要経費になりません。当年の経費にできるのは、その年中に事業上の役務提供が完了し、債務と金額が確定した広告費・外注費です。また、30万円のカメラやパソコンのような減価償却資産は、国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」のとおり、原則として使用可能期間(法定耐用年数)にわたって分割して必要経費にするため、購入年に全額は落ちません。青色申告者には、取得価額30万円未満(令和8年4月1日以後に取得して事業の用に供したものは40万円未満)の減価償却資産を年合計300万円まで取得年の必要経費にできる特例がありますが、対象者・事業供用・年間限度額などの要件があり、白色申告では使えません。
判断基準:「節税が道具として効き始める」のは課税所得330万円超が一つの目安
節税は本来、税率が高い人ほど効く道具です。同じNo.2260の速算表で、課税所得330万円超695万円以下の部分の所得税率は20%。住民税10%と合わせると、330万円を超える部分についてだけ約3割の限界税率になります。所得税は超過累進税率なので、経費や控除が330万円のラインをまたぐ場合、330万円以下に食い込んだ部分の所得税率は10%となり、控除全体で見た効果は約3割より下がります。つまり330万円超は普遍的な「節税開始ライン」ではなく、超える部分が大きくなるほど節税が道具として効き始める、という目安です。逆に言えば、そこに届くまでの優先課題は節税の研究ではなく、売上と利益を伸ばすことです。「税金を減らすための出費」は、開業初期の税率帯では、ほぼただの出費になります。
理由② 節税目的の法人成りは「逆ザヤ」になりやすい
「法人にすれば節税になる」という情報だけを根拠に、利益が薄い段階で法人成りするケースがあります。このとき起きやすいのが、次の固定費増です。
- 社会保険料: 個人事業の国民健康保険はざっくり所得の10%強。法人になると健康保険・厚生年金の社会保険に切り替わり、会社負担分と本人負担分を合わせるとおおむね報酬の約30%(会社約15%+本人約15%)の水準になります(料率が掛かる基数は報酬額と所得で異なる概算比較です)
- 法人住民税の均等割: 標準税率で最低でも年約7万円(道府県民税2万円+市町村民税5万円。自治体・資本金等により異なります)。赤字でも課されます
公平のために付け加えると、国保の個人事業主は国民年金保険料(日本年金機構。令和8年度は月17,920円)を別途負担していますし、厚生年金には将来の年金給付が増えるという良さもあります。それでも、利益が薄いうちは足し引きしても持ち出しのほうが大きくなりやすい、というのが実務での見立てです。
法人成り自体は、利益が育てば有力な選択肢です。所得税は累進で最高45%(+住民税10%)まで上がるのに対し、中小法人の実効税率はおおむね2割強から3割強のレンジに収まります。ただし、個人の所得税率が法人の実効税率を上回るだけで節税になるとは限りません。役員報酬にかかる所得税・住民税、法人と本人の社会保険料、均等割、消費税、設立・維持費用、そして法人に残した資金を個人へ移す方法まで含めた総額を個別に試算して判断してください。タイミングの考え方は「1人社長が法人化するタイミングとメリット」で詳しく解説しています。
理由③ 利益を消すと「信用」が消える——これが最大の理由
確定申告書と決算書は、税務署のためだけの書類ではありません。銀行、日本政策金融公庫、住宅ローンの審査部、賃貸の大家さん、リース会社——お金と住まいに関わる読み手にとって、申告所得は重要な審査資料の一つです。実際の審査では、事業計画・資金使途・自己資金・既存債務・信用情報・物件価値などと併せて総合的に評価されますが、申告所得が低ければ、その分だけ他の材料で説明しなければならないことが増えます。節税で所得を圧縮するというのは、この「社会の成績表」の点数を自分で下げる行為でもあります。
よくある失敗例: 2年目の運転資金融資(仮想例)
典型的なパターンを一つの物語にします(特定の実在事例ではありません)。開業1年目のWebデザイナーが、売上はそこそこ立ったので年末に経費を積み、所得を80万円まで圧縮して「初年度から節税できた」と満足したとします。2年目、仕事が増えて外注費の先払いが必要になり、公庫へ運転資金300万円を借りに行くと、担当者が重視する資料の一つが申告書の「所得80万円」。この所得で月々の返済ができるのかという点が審査の重要な論点になり、減額や見送りとなる可能性が高まります(実際の審査は事業計画・資金使途・自己資金等も含めた総合判断です)。節税で浮いたのは十数万円、その裏で事業を伸ばす300万円の融資が減額・見送りとなる可能性を自ら高めた、という非対称です。
なお、開業直後の創業融資は事業計画と自己資金を中心に審査してもらいやすい期間ですが、決算・申告を重ねるにつれて、審査の軸足は計画から申告書の実績へ移っていきます。1〜2年目の申告書は、その後2〜3年あなたの審査資料であり続けます。
住宅ローン: 返済負担率が上限となる場合、所得100万円の差で借入枠に概算約650万円の差
もっと生活に刺さるのが住宅ローンです。所得を100万円圧縮したときの「得」は、控除前の課税所得が100万円以上あり全額が先ほどの約15%の帯で効く場合で、税金約15万円。国保の保険料減少を足しても25万円前後です。一方、住宅ローンの借入可能額の計算には申告書の所得が使われます。たとえばフラット35の利用条件では、総返済負担率(フラット35以外も含むすべての借入れの年間返済額÷年収)の基準を年収400万円未満は30%以下とし、取扱金融機関によって異なる場合があるとしています。そこで、他の条件を一定とし、この返済負担率が借入額の上限を決める場合を仮定して試算すると、次のようになります。
| 試算の前提 | 値 |
|---|---|
| 返済負担率 | 年収(申告所得)の30% |
| 審査金利 | 3% |
| 返済期間 | 35年・元利均等 |
検算過程も示します。所得100万円の差は、年間返済許容額で30万円(=100万円×30%)、月あたり2.5万円の差になります。金利3%・35年元利均等の場合、借入100万円あたりの月返済額は約3,849円。したがって借入可能額の差は 2.5万円 ÷ 3,849円 × 100万円 ≒ 約650万円です。金融機関の審査基準は非公開でそれぞれ異なり、低所得帯に返済負担率25%を使う金融機関であれば差は約541万円になります。この約650万円は、所得が下がると一律にこの額が減るという意味ではなく、他の条件を一定とし、返済負担率30%が借入額の上限を決める場合に生じる計算上の差です(自己資金・物件価値・既存債務などが上限を決める場合は差の出方が変わります)。それでも、返済負担率が効く局面では戻ってくる税金の20倍超の「枠」が動き得る桁感は押さえておく価値があります。
2つ注意点があります。第一に、この650万円は財布から消える現金ではなく、返済負担率が上限となる場合の「借りられる枠」の計算上の差です。ただし、事業とマイホームにとってはこの枠こそが選択肢そのものです。第二に、フリーランス・個人事業主の住宅ローン審査では、直近2〜3年分の確定申告書を確認する金融機関もありますが、必要な年数や採用する所得の計算方法は商品ごとに異なります。たとえばフラット35の利用条件は、年収を原則として申込年の前年の公的証明書上の所得金額で定義しています。直近1年の所得改善がどう評価されるかは、申込先の金融機関に確認してください。いずれの商品を選ぶにせよ、家や事務所を持ちたい人ほど、1〜2年目から利益を見せておくに越したことはありません。
同じ理屈は、賃貸の入居審査や自動車ローン・リースの審査にも及びます。開業1〜2年目の人生の選択肢の多くが「申告書で利益を見せられるか」に紐づいているのに対し、節税で守れるのは約15%。天秤になりません。なお、法人の決算書と融資の関係は「黒字でも融資に落ちる決算書6つのサイン」で扱っています。
代わりにやること: 支出を増やさずに税負担を抑える「合法のボーナス」3つ
では何も工夫してはいけないのかというと、逆です。開業1〜2年目には、余計な支出をせずに税負担を抑えられる制度が最初から用意されています。支出型の節税より先に、これを取り切るのが正しい順番です。
① 青色申告——「開業から2か月以内」の紙1枚
国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」のとおり、新たに開業した場合は業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長へ提出します(その年の1月15日以前に開業した場合はその年の3月15日が期限です)。これだけで受けられる主な特典は次のとおりです。
- 青色申告特別控除 最大65万円: 国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」のとおり、複式簿記で記帳し貸借対照表・損益計算書を添付して期限内申告する(55万円控除の要件)ことに加え、e-Taxで申告するか、またはその年分の仕訳帳・総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付け・保存を行い、一定の事項を記載した届出書を確定申告期限までに提出していると65万円控除になります(一般的な電子保存だけでは65万円の要件を満たしません)。約15%の税率帯なら、それだけで税負担が約10万円(65万円×15%=9.75万円)下がります。ただし、この控除は確定申告書上の事業所得から差し引かれるため、青色申告特別控除前の利益(損益計算書の金額)は維持される一方、確定申告書や所得証明書に載る「所得金額」は控除後の金額になります。たとえばフラット35の利用条件では、自営業者等の年収は原則として申込年の前年の申告書上の所得金額で判定されます。審査で控除額を足し戻して評価するかは金融機関により異なるため、融資や住宅購入の予定がある方は申込先の金融機関に確認してください
- 純損失の3年繰越: 初年度に赤字が出ても、翌年以後3年間繰り越して将来の黒字と相殺できます。ただしこの繰越控除を受けるには、純損失が生じた年分の青色申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出し続けることが必要です(なお、期限内申告が要件となるのは前述の55万円・65万円の青色申告特別控除であり、繰越控除自体の要件ではありません)。赤字になりやすい1年目こそ、この申請と毎年の申告継続の価値が大きくなります
なお、青色申告の特典としてよく挙げられる青色事業専従者給与は、上の2つとは性格が異なる制度です。国税庁タックスアンサーNo.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」のとおり、家族への給与を必要経費にできるのは、(1)生計を一にする配偶者その他の親族で、その年12月31日現在で15歳以上であること、(2)その年を通じて原則6か月を超える期間、その事業に専ら従事していること、(3)「青色事業専従者給与に関する届出書」を期限内(原則その年3月15日まで。1月16日以後に開業した場合等は開始日から2か月以内)に提出していること、(4)届出の範囲内で、労務の対価として相当と認められる金額であること——をすべて満たす場合に限られます。しかも、専従者給与の支払いを受けた家族は同一生計配偶者・扶養親族になれない(配偶者控除・扶養控除と併用できない)うえ、専従者給与は事業所得=申告書の所得金額を減らします。つまり「利益を見せる」という本記事の観点では審査上の所得を下げる方向に働くため、家族への所得移転として本当に得か、融資・住宅ローン審査への影響も含めて個別に検討すべき制度です。
青色申告の制度全体は「税理士が教える青色申告のすべて(個人事業主編)」で、開業時の手続き全体の優先順位は「個人事業主の開業1年目にやるべき手続き10選」で解説しています。
② 消費税の免税期間を「準備期間」に使う
国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」のとおり、消費税は基準期間(個人事業者はその年の前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務が免除されます。基準期間はあくまで「その人の前々年」で判定されるため、初めて事業を開始し、基準期間に当たる前々年に他の課税売上がない個人事業者であれば、開業1〜2年目は原則として消費税を納めなくてよい期間です。一方、前々年に副業や以前の事業などの課税売上があった人は、開業届を出しても基準期間がなくなるわけではないため、開業年数にかかわらず前々年の課税売上高を必ず確認してください。そのほか、免税にならない主な注意点があります。
- 特定期間の判定: 前年の1月1日〜6月30日の課税売上高が1,000万円を超えると、2年目から納税義務が生じます。ただしこの判定は、課税売上高に代えてその期間の給与等支払額により行うことを納税者が選択できるため、課税売上高が1,000万円を超えても、給与等支払額が1,000万円以下であれば免税のままとなる場合があります
- インボイス登録: 適格請求書発行事業者の登録を受けると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません。登録すべきかは取引先の構成次第で決まります
- 課税事業者を選択している場合: 「消費税課税事業者選択届出書」を提出している場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません(原則として2年間は免税事業者に戻れません)。還付を受ける目的などで提出済みの方は「開業初期だから免税」と思い込まないでください
- 相続などで事業を引き継いだ場合: 相続により事業を承継したときは、被相続人の基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるなど一定の場合に納税義務は免除されません(法人の合併・分割等にも同様の特例があります)
免税期間に浮いた分は「使っていいお金」ではなく、記帳の仕組みづくりと運転資金に回す準備資金として扱うのが、課税が始まった年に慌てないコツです。
③ 節税の研究より、領収書の整理と帳簿
3つ目は地味ですが効きます。領収書・請求書などの証憑がきれいに整理され、帳簿が締まっている事業者は、税務調査でも話が早く、余計な疑いを持たれにくい傾向があります。そして、きれいな帳簿と利益の乗った決算書の2点セットは、そのまま金融機関への最強の説明資料になります。節税情報を検索する時間を、まず記帳と証憑整理の仕組みづくりに充ててください。
判断の分岐表:「やっていい工夫」と「まだ早い節税」
| 行動 | 開業1〜2年目の判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 仕事に必要な設備・外注・学習への投資 | ○ やってよい | 目的が事業成長。節税は副産物 |
| 青色申告承認申請書の提出(開業2か月以内) | ◎ 最優先 | 支出ゼロで税負担が下がる(所得証明上は控除後の所得金額になる点は本文①参照) |
| 免税期間の資金を仕組みづくりへ回す | ◎ 推奨 | 課税開始年への備え |
| 「税金を減らすため」の年末の駆け込み消費 | × まだ早い | 戻りは約15%、7割超は自腹。審査上の所得も下がる |
| 節税目的の法人成り | × まだ早い | 社保・均等割で逆ザヤになりやすい。税率比較だけでなく総額の個別試算で判断 |
| 融資・住宅購入・引っ越しの予定がある年の利益圧縮 | ×× 特に避ける | 直近2〜3年分の申告所得を確認する金融機関もある(必要年数・採用所得は商品ごとに異なる) |
よくある質問
Q1. 家を買う予定があります。いつから利益を見せればよいですか?
個人事業主の住宅ローン審査では、直近2〜3年分の申告所得を確認する金融機関もありますが、必要な年数や採用する所得の計算方法は商品ごとに異なります。購入希望時期から逆算して、早めに(可能なら2〜3年前の申告から)利益を圧縮しない方針に切り替えておくと、どの商品を選ぶ場合にも説明しやすくなります。直近1年の所得改善がどう評価されるかは、申込先の金融機関に確認してください。
Q2. すでに1年目で所得を圧縮してしまいました。手遅れですか?
手遅れではありません。複数年分の申告を確認する金融機関でも、今年からの申告で利益を積み上げれば評価は回復していきます。まず青色申告の要件(複式簿記・e-Tax等)を整え、来期以降の申告書を「見せられる成績表」にしていくことが現実的なリカバリーです。
Q3. 節税を始めてよいのはいつからですか?
一つの目安は課税所得330万円超(330万円を超える部分の所得税率20%+住民税10%)です。ただし約3割の効果が及ぶのは330万円を超える部分だけで、経費や控除が330万円のラインをまたぐ場合、控除全体の効果は約3割より下がります。普遍的な「節税開始ライン」ではなく、超える部分が大きくなるほど道具として効き始める目安と考えてください。あわせて、直近に融資・住宅・引っ越しの予定がないことも確認してください。金額と時期の両方が揃ってからが、節税の出番です。
まとめ: 開業1〜2年目に払う税金は「いちばん安い広告費」
開業1〜2年目に払う税金は罰金ではなく、あなたの申告書に「この人は稼げる」と書き込むためのコスト——言い換えれば、金融機関や大家さんに向けたいちばん安い広告費です。利益を消して約15万円を守るより、利益を見せて、返済負担率が上限となる場合に約650万円動き得る借入枠と信用を残す。節税は、税率が上がって道具が効き始めてから、制度に沿って堂々とやれば十分間に合います。
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出典(一次情報)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2260 所得税の税率(令和8年4月1日現在法令等)
- 総務省 個人住民税(標準税率: 道府県民税4%+市町村民税6%)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2070 青色申告制度(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2100 減価償却のあらまし(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2210 必要経費の知識(令和8年4月1日現在法令等・必要経費はその年において債務の確定した金額)
- 国税庁 タックスアンサーNo.6501 納税義務の免除(令和7年4月1日現在法令等)
- 日本年金機構 国民年金保険料の額(令和8年度: 月17,920円)
- 住宅金融支援機構 フラット35(保証型)ご利用条件(年収は原則として申込年の前年の所得金額で判定・総返済負担率基準は取扱金融機関により異なる場合あり)
※本記事の「約15万円」は、控除前の課税所得が100万円以上あり、その全額が課税所得195万円以下の帯(所得税5%+住民税10%)で効く方が所得を100万円圧縮した場合の税負担の減少額(概算)です。所得税は超過累進税率のため、控除が税率区分をまたぐ場合や課税所得が控除額に満たない場合は効果が変わります。「約650万円」は、他の条件を一定とし、返済負担率30%(審査金利3%・35年元利均等返済)が借入額の上限を決める場合に生じる借入可能額の計算上の差(概算)で、所得低下により一律にこの額が減るという意味ではありません。実際の審査は申告所得のほか事業計画・自己資金・既存債務・信用情報等を含めた総合判断で、基準は金融機関により異なります。本記事は納税額を増やすことを勧めるものではなく、支出型の節税より制度活用と利益の開示を優先すべきという優先順位の解説です。個別のご判断は税理士にご相談ください。
執筆: 公認会計士・税理士 田中将太郎/最終レビュー日: 2026年9月13日/制度情報の基準日: 2026年9月13日時点の公表情報(国税庁タックスアンサー 令和8年4月1日現在法令等ほか、出典参照)