【令和8年分】年末調整の変更点|基礎控除104万円・扶養の給与収入ライン136万円と経理の10〜12月チェックリスト

公開 2026.09.14 約18分で読めます 筆者:田中将太郎(公認会計士・税理士)

令和8年分の年末調整では、基礎控除が最大104万円、給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられ、扶養親族の給与収入ラインは136万円に変わります。

この記事は、従業員を雇用する中小企業の経営者・経理担当者が「令和8年12月の年末調整までに、何を・いつまでに変えるべきか」を判断するための記事です。令和7年分からの変更点を比較表で整理し、10月・11月・12月にやるべき実務チェックリストと、従業員から受ける質問への回答例(FAQ)をまとめました。年末調整の書類を書く給与所得者の方にも、ご自身の控除がどう変わるかの確認にお使いいただけます。

本記事の税率・金額・適用時期は、国税庁「令和8年 源泉所得税の改正のあらまし(PDF)」および令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等についてなど、記事末尾に掲げる一次情報で確認しています(令和8年4月1日現在の法令等に基づきます)。

令和8年分の年末調整で変わる点|令和7年分との比較一覧

まず全体像です。令和8年分の年末調整に影響する主な改正は次のとおりです。

項目令和7年分(改正前)令和8年分(改正後)適用開始
基礎控除(合計所得489万円以下)68万〜95万円104万円令和8・9年分(令和8年12月1日施行)※令和10年分以後は99万円(合計所得132万円以下)または62万円
基礎控除(合計所得489万円超655万円以下)63万円67万円令和8・9年分※令和10年分以後は62万円
基礎控除(合計所得655万円超2,350万円以下)58万円62万円令和8年分以後
給与所得控除の最低保障額65万円74万円令和8・9年分※令和10年分以後は原則69万円(物価連動による見直し対象)
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件合計所得58万円以下(給与収入123万円以下)合計所得62万円以下(給与収入136万円以下令和8年分以後(源泉徴収事務では令和8年12月1日以後に支払う給与から)
特定親族(19〜23歳未満)の所得要件合計所得58万円超123万円以下(給与123万円超188万円以下)合計所得62万円超123万円以下(給与136万円超197万円以下)同上
配偶者特別控除の対象となる配偶者合計所得58万円超133万円以下(給与123万円超201万5,999円以下)合計所得62万円超133万円以下(給与136万円超207万円以下)同上
勤労学生の所得要件合計所得85万円以下(給与150万円以下)合計所得89万円以下(給与163万円以下)令和8年分以後
生命保険料控除(23歳未満の扶養親族がいる場合の一般枠)一般生命保険料控除の上限4万円新生命保険料は上限6万円(3保険料合計の上限12万円は不変)令和8年分(令和8年度改正で令和9年分まで延長)
マイカー・自転車通勤の非課税限度額(片道65km以上)38,700円45,700〜66,400円(距離区分により4段階)令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当
通勤用駐車場代の加算加算なし距離区分の限度額に駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加算(片道2km以上・本人負担が要件)同上
食事の現物支給の非課税限度額会社負担が月3,500円以下会社負担が月7,500円(税抜)以下令和8年4月1日以後に支給する食事
深夜勤務者の夜食代(金銭支給)1回300円以下1回650円以下同上

出典:国税庁「令和8年 源泉所得税の改正のあらまし(PDF)

※ 表中の基礎控除104万円・67万円と給与所得控除の最低保障額74万円は令和8・9年分の金額です(令和10年分以後は、基礎控除が99万円〔合計所得132万円以下〕または62万円、給与所得控除の最低保障額が原則69万円となり、いずれも2年ごとの物価連動による見直しの対象です)。扶養親族・配偶者・特定親族・勤労学生の所得要件(62万円・89万円など)自体は令和8年分以後の適用ですが、括弧内の給与収入換算額(136万円・169万円・197万円・207万円・163万円)は改正後の給与所得控除74万円を前提とした令和8・9年分の金額です。

令和8年分の年末調整では「まだ変わらない」もの(令和9年分以後に適用)

次の2つは改正が決まっていますが、適用は令和9年分以後です。令和8年12月の年末調整には反映しません。

  • ひとり親控除の引上げ(35万円→38万円):令和9年分以後の所得税から適用されます。令和8年分の年末調整では従来どおり35万円で計算します(国税庁タックスアンサー No.1171 ひとり親控除)。なお、ひとり親控除の対象となる「生計を一にする子」の総所得金額等の要件は、令和8年分から62万円以下に引き上げられます。
  • 防衛特別所得税の創設:令和9年1月1日以後に生ずる所得から、源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額を所得税と併せて徴収することになります。同時に復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられるため、防衛特別所得税と復興特別所得税を合わせる税率2.1%は改正前後で変わりません。ただし、基礎控除等の改正により源泉徴収税額表の金額自体は変更されるため、令和9年1月1日以後に支払う給与からは「令和9年分 源泉徴収税額表」(令和8年8月31日公表済み)を使用します。この税額表は令和8年分以前の給与等の税額算出には使用しないこととされています。

基礎控除は最大104万円に|合計所得489万円以下の従業員はほぼ全員が対象

令和8・9年分の基礎控除は、合計所得金額に応じて次のようになります(国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について)。

本人の合計所得金額収入が給与だけの場合の給与収入(目安)基礎控除額(令和8・9年分)
489万円以下665万5,556円以下104万円
489万円超 655万円以下665万5,556円超 850万円以下67万円
655万円超 2,350万円以下850万円超 2,545万円以下62万円
2,350万円超 2,400万円以下48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
2,500万円超適用なし

なお、1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人は年末調整の対象外で、原則として本人の確定申告が必要です(国税庁タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人)。上の表の高所得区分(給与収入2,545万円以下など)は、確定申告を含む所得税一般の参考としてお読みください。

実務上のポイントは3つです。

  1. 104万円と67万円の適用は令和8・9年分の時限措置を含む金額です。令和10年分以後は、合計所得132万円以下が99万円、それ以外(2,350万円以下まで)は62万円となる予定です。給与計算システムの設定を確認する際は「何年分の控除額か」を必ず区別してください。
  2. 給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円に引き上げられます(給与収入190万円以下・令和8・9年分。令和10年分以後は原則69万円で物価連動による見直しの対象。給与収入220万円超の給与所得控除に改正はありません)。この結果、令和8・9年分では、給与収入だけの人の所得税の課税ラインは給与所得控除74万円+基礎控除104万円=178万円が目安になります。
  3. 基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の改正については、令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務(月次の税額表)に変更がありません。令和8年12月の年末調整で、引き上げ後の基礎控除額と改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」により1年分の税額を計算し、改正前の税額表で徴収済みの源泉徴収税額との差額を精算します。一方、後述の通勤手当・食事支給の非課税限度額は令和8年4月1日以後分から改正後の金額で課税給与を判定するため、該当者がいる場合は月々の処理が変わっている点に注意してください。例年より還付額が大きくなる従業員が多くなることが見込まれるため、資金繰りと従業員への事前説明を準備しておくとスムーズです。

扶養の「収入ライン」は123万円から136万円へ|12月1日以後は申告書の再確認が必要

基礎控除の引上げに伴い、扶養控除等の対象となる親族の合計所得要件が58万円以下から62万円以下(給与収入だけなら136万円以下)に変わります。パート・アルバイトの家族を扶養に入れている従業員に直結する変更です。

  • 配偶者控除:配偶者の給与収入136万円以下(合計所得62万円以下)で対象になります。控除額は、本人の合計所得900万円以下の場合、一般の控除対象配偶者(年末時点で70歳未満)が38万円、老人控除対象配偶者(同70歳以上)が48万円です(国税庁タックスアンサー No.1191 配偶者控除)。
  • 配偶者特別控除:配偶者の合計所得62万円超95万円以下(給与収入136万円超169万円以下)で38万円となり、その後段階的に縮小し、給与収入207万円を超えるとゼロになります(本人の合計所得900万円以下の場合。国税庁タックスアンサー No.1195 配偶者特別控除)。給与収入136万円以下の配偶者は、配偶者特別控除ではなく配偶者控除の対象です。
  • 特定親族特別控除(19歳以上23歳未満の子など):合計所得62万円超123万円以下(給与収入136万円超197万円以下)が対象です。
  • 勤労学生控除(27万円):学生本人の合計所得要件が89万円以下(給与収入163万円以下)に引き上げられます。適用を受けるには、その年の12月31日時点で、給与所得などの勤労による所得があり、合計所得89万円以下かつ勤労による所得以外の所得(副業・配当など)が10万円以下で、所定の学校の学生・生徒等であることのすべてを満たす必要があります。また、対象となる学校の範囲に、修業期間1年以上等の要件を満たす専修学校の専攻科課程の履修者が加わります(国税庁タックスアンサー No.1175 勤労学生控除)。

源泉徴収事務では、この所得要件の改正は令和8年12月1日以後に支払う給与から適用されます。改正により新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族について扶養控除等の適用を受けるには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の提出(異動の記載)が必要です。年末調整の書類回収時に、「今年から扶養に入る家族がいないか」を全従業員に確認してください。

なお、ここで述べたのは所得税の扶養のラインです。社会保険の被扶養者認定(いわゆる130万円の壁など)は別の制度で、今回の所得税改正では変わりません。社会保険側の動きは別記事「年収の壁はこう変わる|130万円の壁と働き損ゾーン」で解説しています。

通勤手当と食事支給|令和8年4月1日以後分から非課税枠が拡大

マイカー・自転車通勤:片道65km以上の限度額引上げと駐車場代の加算

自動車や自転車など交通用具を使用する人の通勤手当は、片道の通勤距離65km以上の非課税限度額が引き上げられ、区分が細分化されました(令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用)。なお、令和8年4月1日前に支払われるべき通勤手当の差額として後日追加支給する部分には、改正後の限度額は適用されません(改正前の限度額で判定します)。規程を遡って改定する場合は、この適用除外に注意してください。

片道の通勤距離1か月当たりの非課税限度額
55km以上65km未満38,700円(改正なし)
65km以上75km未満45,700円
75km以上85km未満52,700円
85km以上95km未満59,600円
95km以上66,400円

あわせて、交通用具による片道の通勤距離が2km以上の人で、勤務する場所の周辺又は通勤に利用する駅・停留所等の周辺にある一定の駐車場等を利用し、その料金を本人が負担することを常例とする場合は、距離区分に応じた限度額に1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加算した金額まで非課税になります(国税庁タックスアンサー No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当)。片道2km未満の人はこの加算の対象外です。電車・バス通勤者の非課税限度額は1か月当たり15万円で変更ありません(No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当)。

実務では、通勤手当の支給規程が旧限度額(65km以上でも38,700円)を前提にしている会社が少なくありません。非課税枠が広がっても支給額自体は規程を変えなければ増えないため、遠距離通勤者や駐車場代を自己負担している従業員がいる会社は、規程改定を検討する好機です。

食事の現物支給:会社負担月7,500円(税抜)まで非課税に

社員食堂や仕出し弁当などの食事支給は、令和8年4月1日以後に支給する食事から、次の2要件を満たせば給与として課税されません(国税庁タックスアンサー No.2594 食事を支給したとき)。

  1. 役員・使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
  2. 食事の価額から本人負担額を差し引いた会社負担額が1か月当たり7,500円(税抜)以下であること(改正前は3,500円以下)

現金で支給する食事代は、深夜勤務者に夜食を現物支給できない場合の1回650円以下(改正前300円以下)の支給を除き、全額が給与として課税される点は変わりません。福利厚生としての食事補助を設計する際の勘定科目の考え方は「食事代の勘定科目は3つ!福利厚生費・会議費・交際費の判定方法」もあわせてご覧ください。

その他の改正|生命保険料控除・退職所得・住宅ローン控除

  • 生命保険料控除(令和7年度改正・令和8年分から適用):年齢23歳未満の扶養親族がいる人は、新生命保険料(一般分・新契約)の控除額を「年間保険料3万円以下=全額/3万円超6万円以下=保険料×1/2+1万5,000円/6万円超12万円以下=保険料×1/4+3万円/12万円超=一律6万円」で計算します(上限は通常の4万円に対し6万円)。一般・介護医療・個人年金の3つを合計した適用限度額12万円は変わりません(国税庁タックスアンサー No.1140 生命保険料控除)。令和8年度改正でこの特例の適用期限は令和9年分まで延長されました。年末調整では令和8年分の保険料控除申告書を使用し、チェック時に23歳未満の扶養親族の有無で計算式(全区分)が変わる点に注意してください。
  • 退職所得課税の見直し(令和8年分から適用):確定拠出年金の老齢一時金(令和8年1月1日以後に支払を受けたもの)を受け取った後に退職金を受け取る場合の退職所得控除の重複排除期間が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に広がりました(いわゆる5年ルールの見直し)。また、令和8年1月1日以後に支払うべき退職手当等については、原則として全ての居住者分の退職所得の源泉徴収票を税務署へ提出することになりました。非居住者に支払う退職手当等は「非居住者等に支払われる給与等の支払調書」、死亡退職により相続人等に支払う退職手当は相続税法の「退職手当金等受給者別支払調書」と様式が異なるため、該当がある場合は国税庁タックスアンサー No.7421 「退職所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等で確認してください。年内に退職者が出た会社は法定調書事務の変更点として押さえておいてください。
  • 住宅ローン控除:適用期限が令和12年12月31日まで5年延長されました。借入限度額の引上げは、既存住宅のうち省エネ性能の高い認定住宅・ZEH水準省エネ住宅を取得する場合が対象です(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。また、控除を受ける最初の年分は確定申告が必要で、給与所得者が年末調整でこの控除を適用できるのは2年目以後です(国税庁タックスアンサー No.1211-1)。2年目以後の年末調整では、税務署から本人に交付された「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」に記載された借入限度額・控除率に基づいて計算すればよく、経理側で改正内容を暗記する必要はありません。

申告書様式の確認|4つの申告書の一体様式は令和7年分から継続

令和8年12月の年末調整で使う「令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(PDF)」は、令和7年度改正による特定親族特別控除の創設(令和7年分から適用)を受けて令和7年分から使われている4つの申告書の一体様式を継続したものです。令和8年分では、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除の判定金額が改正後の金額に変わっています(国税庁 A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告)。記載のポイントは次のとおりです。

  • 基礎控除申告書:本人の合計所得金額の見積額を計算し、判定欄(489万円以下=104万円、489万円超655万円以下=67万円…)にチェックして控除額を記入します。合計所得2,500万円超の人は基礎控除の適用がありません。
  • 配偶者控除等申告書:本人の合計所得見積1,000万円以下かつ配偶者の合計所得見積133万円以下(給与だけなら207万円以下)の場合に記載します。
  • 特定親族特別控除申告書:生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で合計所得62万円超123万円以下(給与136万円超197万円以下)の人がいる場合に記載します。控除自体は令和7年分から適用されており、令和8年分では判定の所得・給与収入ラインが上記の改正後の金額に変わっています。
  • 所得金額調整控除申告書:年末調整対象の給与収入が850万円以下の人は記載不要です。

経理担当者の実務チェックリスト|10月・11月・12月にやること

10月にやること

  • 給与計算ソフト・年末調整システムが令和8年分の改正(基礎控除104万円・給与所得控除74万円・改正後の判定金額を反映した申告書様式)に対応済みか、アップデート予定をベンダーに確認する
  • 従業員への周知文を準備する。特に(1)扶養の給与収入ラインが123万円→136万円に変わること、(2)大学生年代の子は給与197万円まで特定親族特別控除の対象になること、(3)年末調整の還付額が例年と変わり得ることの3点
  • 通勤手当(遠距離・駐車場代)と食事支給の支給規程を確認し、非課税枠拡大に合わせた改定の要否を検討する
  • 国税庁サイトから令和8年分の様式(基礎控除申告書等の一体様式・令和7年分から継続)を入手する

11月にやること

  • 扶養控除等(異動)申告書の記載内容を回収・点検し、改正で新たに扶養に入る親族の異動記載を依頼する
  • 基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・保険料控除申告書を配布し、回収期限を設定する
  • 生命保険料控除証明書・住宅借入金等特別控除申告書など添付書類の回収状況を確認する
  • 中途入社者の前職源泉徴収票、年の途中で退職金・確定拠出年金の一時金を受け取った従業員の有無を確認する

12月にやること

  • 改正後の基礎控除額と「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で年税額を計算し、徴収済み税額と精算する(基礎控除等の改正については、11月までの毎月の源泉徴収は改正前の税額表のままで正しい)
  • 通勤手当・食事支給の該当者がいる場合は、令和8年4月1日以後分を改正後の非課税限度額で判定できているかを年初来で点検し、旧限度額のまま課税していた分があれば年末調整までに訂正する
  • 還付超過で12月の納付額が通常と大きく変わる場合の資金繰り・納付書記載を確認する
  • 源泉徴収票・給与支払報告書を作成する。令和8年1月1日以後に支払うべき退職手当等がある場合は、原則として全ての居住者分の退職所得の源泉徴収票の税務署提出も忘れない(非居住者・死亡退職は別の支払調書等)
  • 令和9年1月支払分から使用する「令和9年分 源泉徴収税額表」(防衛特別所得税と基礎控除等の改正を反映・令和8年8月31日公表済み)への切替をシステムに反映する

よくある質問(FAQ)

Q1. 令和8年11月までの毎月の給与計算で、源泉徴収税額を変える必要はありますか?

基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の改正については、令和8年11月まで月次の源泉徴収税額表に変更はありません(国税庁の「令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません」という説明は、これらの改正に関するものです)。これらは令和8年12月の年末調整で、改正後の基礎控除額等で計算した年税額と改正前の税額表で徴収した税額との差額を精算します。ただし、通勤手当・食事支給の非課税限度額は令和8年4月1日以後分から改正後の金額で課税給与を判定します。該当者について旧限度額のまま課税・非課税を判定していた場合は、毎月の課税給与額と源泉徴収税額が変わり得るため、年初来の処理を点検し、必要な訂正を行ってください。

Q2. 令和8年分の基礎控除申告書はどう書けばよいですか?

本人の合計所得金額の見積額を計算し、判定欄のうち該当する区分(489万円以下=104万円、489万円超655万円以下=67万円、655万円超2,350万円以下=62万円、2,350万円超は48万・32万・16万円)にチェックを付けて控除額を記入します。給与収入だけの人なら、収入665万5,556円以下でおおむね104万円の区分に該当します。

Q3. 配偶者のパート収入が130万円の場合、配偶者控除は受けられますか?

所得税では、令和8年分から配偶者の給与収入136万円以下なら同一生計配偶者に該当し、本人の合計所得900万円以下であれば配偶者控除の対象です(控除額は配偶者が年末時点で70歳未満なら38万円、70歳以上の老人控除対象配偶者なら48万円)。ただし、社会保険の被扶養者認定(130万円前後の基準)は別制度のため、所得税の扶養に入れても社会保険料が発生する場合があります。両者を分けて判断してください。

Q4. 今年から子どもがアルバイトを増やして給与150万円になりそうです。扶養から外れますか?

扶養控除(合計所得62万円以下)の対象からは外れますが、その子が19歳以上23歳未満であれば、給与収入136万円超197万円以下の範囲で特定親族特別控除の対象になり得ます。年末調整では「特定親族特別控除申告書」(令和7年分から設けられている一体様式内の欄)の提出が必要です。

Q5. 防衛特別所得税ができると、従業員の手取りは減りますか?

令和9年1月1日以後に生ずる所得から防衛特別所得税(所得税額の1%)が創設されますが、同時に復興特別所得税が2.1%から1.1%に引き下げられるため、両者を合わせる税率2.1%は変わりません。この改正だけを理由に手取りが減ることはない見込みです。なお、令和9年1月以後の給与には基礎控除等の改正を反映した「令和9年分 源泉徴収税額表」(令和8年8月31日公表)を使用するため、毎月の源泉徴収税額自体は令和8年分の税額表による金額から変わります。

年末調整の改正対応に不安がある方へ

令和8年分の年末調整は、基礎控除・扶養の所得要件・申告書の判定金額と変更点が多く、給与計算の設定ミスが従業員全員の税額に波及します。当事務所では、顧問契約の中で年末調整・法定調書までを含めた給与税務のチェック体制をご提供しています。自社の設定が改正に対応できているか不安な経営者・経理担当者の方は、会計・税務顧問サービスのご案内をご覧のうえ、お問い合わせフォームからご相談ください。

出典(一次情報)

年末調整や税制改正の解説は、YouTubeチャンネル「田中将太郎公認会計士・税理士事務所」でも発信しています。


著者:田中将太郎(公認会計士・税理士)
田中将太郎公認会計士・税理士事務所 代表。中小企業の税務顧問・給与税務・創業支援を専門とする。
最終レビュー日:2026年9月14日/本記事は令和8年4月1日現在の法令等および2026年9月14日時点で確認した一次情報に基づいています。制度の適用に当たっては最新の国税庁の案内をご確認ください。

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